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(2)・1 バーと館の騒がしい三人集

さりげなく(?)人物紹介



     −−−あるバーでの若い三人集






「おい、聞いたか。あのギルバート殿が港付近に来るらしいぞ」


「あの最強最悪の暗黒魔法士がか!?」


「彼は敵ならば最悪すぎるが味方にすれば最強だからね」


「料金も最強最悪だけどな」


「ともかくこちらに引き寄せる作戦を立てねば」


「そこでこれ。わかるかぎりで彼のプロフィールを書いてみたんだ」


「本当か!?」


「貴様っ、俺らに黙って勝手にやっていたな!?」


「じゃあ見ないの?」


「馬鹿か貴様は」






 ギルバート(苗字・年齢・種別共に不詳) 『変化タイプ』



通称「最強最悪の最低暗黒魔法士」

長身で青みがかかった黒の髪に鋭い目が特徴。


彼の名を貴族の間で知らぬ者は少なく、誰もがギルバートに様々な依頼をする。

ギルバートは誰かの下につくのも縛られるのも嫌うが、仕事の場合は別で依頼料は絶対に高額。

だが多額であればあるほど、綺麗に仕事をこなす。

口数が少なく冷淡で容赦ないが魔法に関しては若くして凄腕で敏腕。

さらに見た目もクールでカッコイイということでどの婦人、淑女からも人気。


起きてるときも寝てるときも常に隙をみせず、奇襲にあった際には自身が強いにも関わらず供の少女を犠牲にする。

少女を疎んでいる節はあるが、詳細はやはり不明。

出身地、親、生い立ちも不明。






「まさに3S(最強・最低・最悪)だな」


「不明不詳ばかりではないか。しかも知ってる情報ばかりでまるで役に立たんな」


「当たり前じゃないか。僕が出来ることなんてたかがしれてる」


「さらに役立たずだな」


「………じゃあこの情報もいらない、と」


「何だよそれ?」


「どうせまたくだらぬ「あの少女についてまとめたものなんだけど」「早く見せぬかっ!」


「…」


「貸しだよ?」






 リィブ(拾い子のため苗字はなし)、14歳、種別は狼 『混ざりタイプ』


常に敬語で喋り、ギルバートとは反対に真っ白の長い髪に犬耳、犬の尾が特徴。

狼の獣人は今や少なく大変貴重である。

狼特有の耳と鼻が自慢らしいがまだまだ経験不足。


彼女自身は一人でいるとただの狼娘だが、ギルバートのそばでよくよく目撃されているため、

 ある男は「あの娘には何か秘密があるんじゃないか?」

 ある娘は「あの犬を私のペットにしたいわ」

 ある老人は「ギルバート殿の教え子に違いない。将来きっと有望になるだろう!」

 ある婦人は「ギルバート様のおそばをうろちょろと!なんて卑しい犬なの!?」などなど

ギルバートのついでとはいえ、本人の知らぬ間にひそかに様々な注目をあびているのだった。


強情な性格で誰かしらが捕らえても何をしてもいつの間にかギルバートの傍にいる。

生まれ、生い立ち、離れない理由、全て不明。






「拾い子と注目については新事実だがやっぱ不明だらけだな」


「知っても意味がない情報ばかりではではないかっ!!」


「わかるかぎりって最初に言ったじゃないか」


「そういう問題ではないっ!だいたい何だここの文は!なぜリィが注目など浴びねばならんのだっ!!最低魔法士でも見ていれば良かろうがーっ!!」


「いや、それを僕に言われても」


「ともかくあいつはほっといて作戦をたてるか」


「そうだね」


「うがーーっっ!!!しめてくるっ!!」




 ガシャーーンッ!

 パリンッ!

 ぎゃーー!

 お客様ぁーー!




「…………嫉妬は、怖いね」


「お前の記載のせいだろ。お前がこの店弁償しろよ」


「仕方ないなぁ……」










     −−−ある館での三人組






「リィちゃんとギルバート様にお会いになったとは本当なのですか、『フロッグ』おばさまっ!?」


「あらあらぁ、ビューティフルが抜けてるわよぉ?いくら今の私の姿は十代後半とはいえ、一応あなたの叔母でもあるのだから少しくらいはねぇ…」


「わかりました、若かりし頃の『ビューティフルフロッグ』おばさま」


「………何だかあの子にそっくりねぇ…」


「え、まさかリィちゃんとですの!?そんな、そんな、嬉しいことが……!きゃあ〜んっ!!」


「褒めてないわよぉ?………聞いてないわね」


「聞いておりますわ!叔母さま、リィちゃんはすっごくかわいらしいんですのよ!それにすっごく天然で強くて凛々しくて素っ気なくて冷めてて、でもそこが堪らなく愛おしくて愛おしくて!!」


「…物好きよねぇ。いつからそんな子になったのかしらぁ?」


「今、わたくしのような子供の目の前で男性を拘束しているおばさまに言われたくないですわぁ!」


「…だってこの人ったらこの前、私になら襲われてもいい、って言ったのになんでか逃げ出そうとするんだもの。悪事を働く前に私を口説いてほしいわ〜…」


「それならば早く結婚なさればよろしいんじゃございませんの??」


「それが……………この人ったら照れ屋さんでぇ!素敵に告白されるのはいつだって女の子の夢でしょう?なのにいつまでたってもプロポーズしてくれないのよ〜…」


「毎回こんな状況にされるのに言えるかっ!!それに照れてなどいないっ!」


「じゃあ今この場で言って?」


「えっ」


「私のこと、本当に好きなら今この場でいって……」


「………ぁ………、の…き、嫌い、ではない!むしろ、ぁ……、いや……、…い、今、は…」


「……………早くプロポーズプロポーズプロポーズプロポーズプロポーズプロポーズプロポーズあと少しで結婚結婚結婚けっこ」




ガシャンッ!ガチャガチャガキンッ!




「…拘束が増えましたわ。さて、おばさまが狂気にはいったことですしお邪魔虫は退散致しますわ!わたくしも早くリィちゃんたちを追いかけなきゃいけませんもの!!ではまたご会い致しましょう、………そう遠くない未来の私のおじさま?」


「ま、待て、この危ない状況で、なぜ、」


「あらぁ…話をそらすだけでなく私以外の女性を見るのねぇ……?」


「待て!ルチアーナ嬢っ!私を一人に」「あぁ、きっとリィちゃんは前回よりももっともっとより素敵な人になってるのね…!早く会いたいっ!!」


「大丈夫………すぐに私だけみえるようにしてあげるからぁ……!」


「誰かまともに話を聞けるものはいないのかぁっ!!?」




無情にも扉は静かに閉まって行った。



『ビーフちゃん』がヤンデレなら、侯爵様はツンデレですね。

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