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(1)・10 秘密の会話

「侯爵様、大丈夫ですか?」



「げほっ…、…ぅ……、……あの小娘、なにを…ぅ…涙が……ごほっ」



「だ〜いじょうぶですっ。医者の私が、しっかり体の隅々まで治してあげますから。さぁ早く蛇でも老人でもない姿に戻ってください。そして………十歳の頃の侯爵様が、みたいなぁ〜っ」



「この、ショタコンめ……。俺に対して、それは、失礼では…」



「だって侯爵様の本体はもうおっさんなんだもの。そんなことよりその魔法具で早き若かりし頃を見せてください!前こっそり盗み見た昔の侯爵様のお写真がもう可愛すぎるのなんの!!それ以降私は侯爵様をそういう目で見てきましたぁ!」



「…このド変態め、何を勝手に…。後で、覚えていろ…!」



「もちろん少年侯爵様を見たなら忘れられませんよ!中身親父でも見た目が美少年ならもうかなり萌えますから!悶えます!偉そうな少年カモン!

むしろストライク!!!

ハァー…ハァー…。そしたら、そしたらぁ……あ、あんなぁ…こんなぁ………!」



「うわっ!は、鼻血をとめろ!」



「あぁ、いけません侯爵様!先程の老人みたいな口ぶりをしてください!あの少女を騙すためにと使っていたとき、私はあれが十歳であればと想像するだけでもう、もう……抑えるのが大変でした!」



「どうでもいいから早く薬をうて!ぐ…早くあの小娘を…」



「侯爵様が姿を私好みに変えてくださるのなら、いいでしょう!…でも、なぜ人にもどらないのですか?どちらにしてもやりづらいです」



「………もとに戻ったら、どうするつもりだ?」



「変化するまで手術室でかんき」「黙れッ!」



「…まぁ、それは冗談ですので置いといて、前々から聞きたかったんですけど、侯爵様はなぜあの方から距離を置いてるんですか?二人しかいないこの時だからこそ知りたいんですけど」



「……っ!」



「あの方は侯爵様を束縛なんてしませんし、私と違って白状でもありません。あの方はあなたに心から愛してもらうために一切わがままはいいません。大人になっても純粋で正直でおちゃめで可愛くて考えが真っすぐすぎるくらいです。その証拠に、あなたと一緒にいたい、という思いだけであそこまで強くなりました」



「………」



「…本当は好きなくせに」



「…違う……っ!」



「たとえあの方が本当に怖くてもあなたが浮気をしなければいいだけじゃないですか。何も彼女はあなたが他の子と話しただけで襲いかかるわけじゃないんですし。彼女は浮気以外では他では勿体ないほど心が寛大ですよ。あなた自身だけを本当に愛してますから」



「…私は彼女の制裁だけは心の底から恐ろしいんだ」



「…あいつとかあの野郎とか言わないあたり、やっぱり好きなんじゃないですか。それに制裁以外はどうおもってるんですか?」



「っ!!」



「それでよく何年も婚約者なんてしてますね。あの方が何も言わないからって。情けない…」



「………」



「………」



「……はぁ。…しらけちゃいました。さて、侯爵様、そろそろいい加減もとにもどってください」



「……ぁ、ああ」



「ついでにやりやすいよう、うつぶせに」



「…わかった」



「さあ魔法具で十歳に」



「わかっ………待てっ!なんで馬乗りになってる。注射だけのはずだぞ!!」



「あぁ……私好みの運命の美少年を私が押し倒してるぅ……!」



「俺は今老いた蛇なのにどこが美少年なんだっ!!運命でもなんでもない!」



  ―――この時、『謎のビーフちゃん』によって勢いよく扉が蹴破られたのは、彼にとって幸か不幸か……。

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