【プロローグ】「静寂に座す観察者」
はじめまして。
『13の蒼き剣 ―観察者が微笑むとき―』をお読みいただき、ありがとうございます!
帝国の崩壊と再生を描く、静かで熱い群像劇です。
観察者の視点から、裏切りと信念が交錯する物語を、じっくりと紡いでいきます。
それぞれの剣、それぞれの意志──ぜひ、物語の幕開けをお楽しみください。
──世界が、わずかに“壊れる”音がした。
私は、何も言わず、ただ椅子に座っていた。
皇帝の間からひとつ離れた、控えの空間。
誰もいない。誰も入れない。
石造りの壁に囲まれ、灯火は赤く、まるで血のように揺れている。
目を閉じる。
耳を澄ませる。
そして、そっと、笑う。
……始まったな。
クルツが疑念を持ち始めた。
セカンドは秩序と感情のあいだで揺れている。
皇女は未だ“帝国の重さ”に震えている。
十三位──まだ己の感情と決意に気づいていない。
私の言葉に誰が従い、
誰が裏切り、
誰が壊れていくのか。
さあ、演じたまえ。
愚かさを、誠実を、偽善を、正義を。
誰が帝国を導き、
誰がこの帝国を滅ぼすのか。
……願わくば、私の予想ごと壊してくれればいい。
それが、最高の“余興”なのだから。
私は、舞台の外から拍手を送ろう。
世界が完全に壊れる、その瞬間まで。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
今回は、壊れゆく帝国の"はじまり"を描きました。
静かに、確実に動き出す運命の歯車……
次回、さらなる揺らぎが広がります。
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