あーあ、もうお嫁に行けないな
気持ち悪い、触らないでほしいって思う。
でも言おうとは思わなかった。
言ったらどんどん状況が悪化していくこともわかっているけれど、それだけじゃなくただもう何もかもが面倒になっていた。こうなったのは私のせいなんだ。もうどうでもいい。抵抗さえしなければさっさと終わるんだ。今こうして触られている方が早く終わる。気持ち悪いけど、仕方がない。早く満足するまで触ってほしい。
「ちょ。次、俺の番俺の番。……うは、やわらけー」
茶髪の男の子も続いて私の胸を揉んだ。男子の大きな手の感触が本当に気持ち悪かった。
「ブラ、ずらしていいんだよな」
「いいよー。上半身プランだからね」
プランってなに。私は売り物じゃない。売り物なんかじゃないのに、私の胸を隠していたブラを、二人の男の子は上にずらした。
もう何もかもが面倒でも、流石に胸を見られるのは抵抗したい。
でも、私の腕は動かなかった。もちろん、動かそうとしても腕を掴まれてちゃどうにもならない。足は固定されてないから男の子を蹴れば何か変わるかもしれない。蹴っちゃうか。でも、早く終わってほしい。蹴ったら絶対に他の何かをされると思う。何かな。わからないけれど、まあいいや。もうういいや。知らない人に見られるなんて、それも男の子に見られるなんて酷すぎるけど、仕方がない。
あーあ、もうお嫁に行けないな。
男の子の手の暖かさが肌を通じて直に感じる。強く揉まれて時々胸が痛くなる。
「なあ、舐めてもいいのか」
「きっも。何それ。でもいいよ、そういうプランだから。
見られて、触られて、挙句の果てには胸を舐められた。
赤ちゃんみたいに男の子は私の胸の先を吸った。気持ち悪すぎて鳥肌が立つ。名前も知らない男の子にこんなことをされて、私の人生はどうなっちゃうんだろう。
「エッロ。こんなのお父さんのAVでしか見た事ねえよ」
「やべえ、やべえって。最高すぎる。」
獣みたいに私の体を触る二人の男子の目には私自身は写っていなかった。私はただの女で、女という身体を触るために二人は目の前にいて、本能の行くままに女の身体を触っている。
腹を触り、背中を触り、胸を触り、胸を舐めた。
多分、私の胸がきらなちゃんみたいにおっきかったら、もっと嬉しかったんだろうな。小さくてよかった。それだけで彼らに残念だと思わせられる。
私の目の前で起こっている現実の気持ちの悪さに吐き気がした。うえっ、こんな気持ち悪いことってあるんだな。
「あ、もちろんだけど、今度からたかしちゃんと関わる時は私を通してね。勝手に近寄ったり話しかけたりしたらこの写真ばら撒くから」
パシャリというシャッター音は、おそらく裸の私とこの二人の男子を写した。
「わかってるって。お年玉貯めててよかったわ。あと六回は楽しめる」
「ずりー、俺もう後二回くらいしか拝めねえよ」
六回って何?
そんなに私は触られないといけないの?
でも、きらなちゃんはあと二回で帰ってくる。六回なんて絶対にさせない。
はあ。本当に気持ち悪い。早く終わって欲しい。早く帰りたい。あとたった三日乗り越えたらきらなちゃんは帰ってくるんだ。何度もきらなちゃんのことを考えて気持ちを保つ。きらなちゃんが帰ってくるまで、それまで私はもうなんの抵抗もしない。したいとも思わなくなった。
もうどうでもいいんだ。死なないなら、どうでもいい。
「マジで最高なんだけど」
「芽有たちと友達でよかったわ」
死なないならどうでもいい。そう思っているのに、なぜか涙が溢れてきた。ただ体を触られているだけなのに、心がどんどんおと大きな穴を作っていく。その穴に吸い込まれそうになる。少しだけ、その穴に触れてしまったのか、辛い気持ちになる。
ああ、辛い。
うわ、いま私、すごく辛いんだ。
気づいてしまった。気付きたくなかった。
今されていることがどんどん恥ずかしくなって、辛くなって、涙が溢れてきた。
「なんか泣いている女子触るのとか興奮するな。それにしてもなんで女子ってこんなエロいもんついてるんだろうな」
「俺らにもついてたらタダなのにな」
「ばか。他人のだからいいんだろ」
「確かに」
泣いている私を熱心に二人の男子は私の体を弄った。どっちかが私の股間を触った。
「いやっ」




