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たかしちゃん  作者: 溝端翔
プロローグ
8/162

大福を食べるならそれも仕方ないの

「ご飯まだかなあ」


 しばらく待っていると、パスタが先に届いた。

 お母さんが羨ましそうに私の顔を見ている。


「食べていい?」

「いいよ? 食べなさい」

「いただきまあす」


 私がカルボナーラを食べていると、お母さんのピザが届いた。お母さんはピザを手に持って器用に上に載っている具材を落とさないように口に運んだ。


「たかしちゃんも食べたい?」

「う、ちょっと」

「いいよ、食べなさい。その代わりカルボナーラちょっと頂戴ね」

「うん、いいよ」


 誰かが食べているものはなぜかいつもより美味しそうに見える。


 私はピザを手に取って、具材を落とさないように気をつけて食べた。こぼしちゃったら大事なお洋服が汚れちゃう。

 よし、無事に食べられた。


 うん、美味しい。


 ピザってなんでこんなに美味しいんだろう。でも、カルボナーラだって美味しいもん。


 私はお母さんから帰ってきたカルボナーラを食べた。

 お母さんがピザを食べ終わってからしばらくして私も食べ終えた。呼び鈴を鳴らして店員さんを呼んだ。


「はい、いかがしましたでしょうか」

「デザートお願いします」

「承知いたしました。もうしばらくお待ちください」

「お母さんってチョコバナナ好きだよねー」

「チョコバナナは最強の組み合わせだとお母さんは思うんだよねえ。たかしちゃんは和菓子好きね。抹茶とかあんことか」

「うん、洋菓子より和菓子の方が好きー。でもパフェとクレープは別かなあ」

「美味しいもんねえ。お母さん和菓子ならどら焼きが好きだなあ」

「どら焼きかあ、美味しいけど私はやっぱり大福かなあ。普通の大福も好きだけど、よもぎも好きなんだよねえ」

「大福は白い粉がばらばらしちゃうからなあ」

「それも楽しいんだよー。それを楽しんでこその大福好きだよ」

「でもお洋服真っ白になっちゃうよ?」

「仕方ないの、大福を食べるならそれも仕方ないの……」

「そうなのかあ。たかしちゃんは物知りだねえ」

「ふふふ、物知りとかじゃないよ」


 お母さんとお話をしているとパフェが二つ届いた。


「んー、美味しい」

「チョコバナナも美味しいよ」

「一口ちょーだい」

「そっちも一口ちょーだい」


 二人で一緒に二つのパフェを食べた。甘くて、抹茶が苦くて、バナナも美味しかった。


 お会計をして車に乗り込んだ。もうお腹いっぱいだ。


「SM4行きたーい!」

「たかしちゃんさっきまで病院にいたのにすっごく元気になっちゃったね」

「うん、自分でもびっくり。ほんとにさっきまでお腹痛くて吐きそうだったのに」

「うんうん、元気はいいことだけど、無理はしないこと。わかった?」

「はあい」


 私は大きく返事をした。車はSM4が入っているジャスコに向かって進み出した。

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