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たかしちゃん  作者: 溝端翔
たかしちゃんときらなちゃん
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特にってなんだろう

「私は……おばあちゃんが作った、お芋の煮っ転がしかな?」

「うわっ、わふーだ! たかしちゃんおもしろーい! ハンバーグとかオムライスとかカレーとかじゃないの? お芋の煮っ転がしかー、たかしちゃんをも唸らせるたかしちゃんのおばあちゃんの煮っ転がし、食べてみたいな!」

「へ、変だよね、あはは。も、もしよかったら、食べにくる?」

「うん! 行く! 絶対行く! じゃあさじゃあさ、うちにハンバーグ食べにくる? ママのハンバーグすっごい美味しいんだよ! それにおっきい!」

「い、行きたい! おっきいのかあ、全部食べ切れるかなあ?」

「大丈夫だよ! だって美味しいもん! 他は? 他は? たかしちゃんの好きなものってなあに?」


 きらなちゃんのお目目がキラキラしている。多分、私の目もキラキラしていると思う。


「えっと、お裁縫が好き、かな。特に、ぬいぐるみを作るのが好き」

「お裁縫って針と糸で? すっごーい! 私家庭科苦手なんだよね、針とかすぐ指に刺さって痛いし、真っ直ぐ縫えないし、頑張って縫ったのになぜか解けちゃうし。すごいすごい! どんなぬいぐるみ作るの?」

「えっとね、まだ丸い形のしか作れないんだけど、黒猫さんとか、柴犬さんとか。それで、今はしゃーくんっていうキャラクターのぬいぐるみを作ってるの、初めてまんまるじゃない形だから、難しい……」

「しゃーくん知ってる! ほおじろしゃーくんかわいいよね! はんまーへっどしゃーくんもかわいいけど!」

「きらなちゃん知ってるの? わあ、かわいいよねほおじろしゃーくん。今ほおじろしゃーくんを作ってるんだよ?」

「わー! すごい! 出来たら見せてね!」

「うん、絶対見せる! 絶対成功させる! きらなちゃんは? 好きなことってある?」

「私の好きなことかーなんだろうな……運動は好き!」

「きらなちゃんはなんの部活に入ってるの? 運動部?」

「あ、あはは。運動部じゃなくて文化部だよ。天文部。星を見る部活だよ」

「そうなんだ。きらなちゃん運動得意そうだから運動部かと思った」

「そうなの、よく言われるー。でもいいよー天文部」

「そうなんだ。私も部活とかやってみたいけど、知らない人の中に行くの苦手だからなあ」

「じゃあ、うちくる?」

「それならもしかしたら……でもまだちょっと怖いから考える」


 きらなちゃんと同じ部活に入れたら、それはとても楽しいと思う。でも、部活にはきらなちゃんだけじゃなくて、他の人もいるから、私にはまだ少し部活動っていうものは怖かった。


「そっか、じゃあさ、教司の話しよーよ」

「教司って誰?」

「ああ、えっと、ほら、うちの担任の……。かー……じゃなくて、く、くー……なんだっけ」

「雲藤先生?」

「そう! それだ! 雲藤だ! 教司で覚えてたから全然出てこなかったや」

「きらなちゃん、先生のこと下の名前で覚えてるんだ……」

「いやー教司だけだよ、あいつサッカー部の顧問だからさ。あ、あと数学のなゆたん、あの人は水泳部の顧問だからね。でも多分、他はみんな苗字だよ? 三島とかは特に!」


 特にってなんだろう。ふふ。


「でさー、教司なんだけどさ。うるさいんだよねー、髪色戻せーとか。制服はちゃんと着ろーとか」

「そういえば、きらなちゃん金髪だよね。それに、セーラー服の胸当てつけてない」

「いいでしょ、気に入ってるんだー。みて! 谷間! 最近すっごい谷間ができるブラ見つけてさー」


 恥ずかしい話をきらなちゃんが平気でし始めた。


「わ、わわわ。きらなちゃん、そんなお話し、恥ずかしくないの?」

「うん、全然恥ずかしくないよー。下着くらい問題なし! 見せるわけじゃないからね」


 で、でも谷間は見えてるよ。って言いたいけれど、恥ずかしくていえない。


「ん? ああ、谷間はいいのよ。海外の女優とかすっごいでしょ、あれに憧れてさー。かっこいいなあって。だからむしろ見せてやろうってね!」


 きらなちゃんすごい、なんだかかっこいい。


「あ、でもたかしちゃんはだめだよ? 可愛いし清楚だから。っていうかさー、問題はここなのよ」

「ここちゃん?」

「そう、あいつ、スカートで走り回ってるじゃん? だからスパッツとか、せめて見せパン履きなさいって言ってんのに全然聞かないの。走りにくいから嫌だーだって、そのせいでそこら中の男子にパンツ見せながら走ってんのよあの子。どう思う?」

「えっと、私なら、見られたら恥ずかしいから走らないと思う。スパッツとか履いてても恥ずかしい」

「だよね! たかしちゃんは正しいわ。パンツもブラも見せちゃいけないのよ。でもここはブラもパンツも見せるからね」

「ええっ? ブラも?」


 わっ、びっくりして恥ずかしいこと言っちゃった。顔がどんどん赤くなるのがわかる。


「そうなのよ、どこでも着替えちゃうの。しかも結構な頻度でつけてないのよ。末恐ろしいわあの子」


 ブラジャーを付けてないなんて。私は想像するだけで恥ずかしかった。


「まあここの話はいいわ、何度言ってもだめだからね。それよりさ、たかしちゃんってどの辺に住んでるの?」

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