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たかしちゃん  作者: 溝端翔
たかしちゃんときらなちゃん
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やっと犯人がわかった

「あのね、きらなちゃんがいじめっ子で、本当は友達になってないんだ。っていう悪戯をしてるのかもしれないって思って、思っちゃったらきらなちゃんのこと信じられなくなって。それで。私……」

「あー、そっかそっか。ごめんね、私無神経ってよく言われるんだ。そうだよね、たかしちゃんならそう思ったとしてもおかしくないよね。たかしちゃんって誰にいじめられてたかわかってないんだ?」

「うん、誰がかも、何人なのかもわかんない。最近は、四人? かなあって思ってるけど」

「ちょっと待ってね」

 きらなちゃんは教室中を見渡してから、小さい声で私の耳元で言った。

「犯人はね、芽有めあり……日向芽有ひゅうがめありたちのグループだよ。芽有のほかには、はりきい、根波優子ねなみゆうこ井岡瑠子いおかるこの三人だね。いつも一緒にいるし、たかしちゃんの机に集まって何かやってたの見た。その時は何にも出来なかった。私、怖くて、止められなかった」


 声を大きくしたきらなちゃんが「ごめんね」って謝った。


「ううん、大丈夫」


 そうか、やっと犯人がわかった。


「教室の入り口に固まっているでしょ。あれが芽有たちだよ」


 私は恐る恐る教室の入り口を見た。そこには四人の女の子が笑いながら話していた。見た目は、多分、普通の女の子たち。一人だけは茶髪だったけど、それ以外はみんな黒髪だった。きらなちゃんの方がよっぽど不良だと思った。

 こうやってみると、あんまり怖くない。怖くないのに、あんな事をするんだ。そう思うとても怖くなった。


「大丈夫、もう守るって決めたからね。絶対何もさせないから」

「ありがとう。きらなちゃん」


 やっぱり本物だった。本物の友達だ。私も、きらなちゃんに何かあったら何かしないとって思った。


「そう言えばここちゃんは?」

「休み時間はいつも蹴人たちと鬼ごっこよ。中休みと昼休みはサッカーとかバスケとか」

「そっか。挨拶できなさそうだな」

「そうね、毎日忙しそうに走り回ってるからね」


 きらなちゃんは言いながら笑った。私も釣られて笑った。楽しい、これだけでいい。そう思った。

 でも、楽しい休み時間はあっという間に過ぎて、授業が始まってしまう。


 もう、もっとお話ししていたいのに。


 先週や先々週のように授業がすんなりと頭に入ってくることはなかった。


 だめだ、浮かれちゃう。


 どうしても浮かれてしまって授業に集中できない。ついきらなちゃんの背中ばかり見てしまう。まだかな、休み時間はまだかな。そんな事を考えてしまう。家に帰ったらちゃんと勉強をしないと置いて行かれてしまう。そんな気がして、頑張って授業を受けた。初めて、授業がつまらないと思った。


「たーかしちゃんっ!」

「きらなちゃん!」


 授業が終わると、きらなちゃんが私の席まで遊びにきてくれた。


 楽しい。すっごく楽しい。


 休み時間になる度に、ずっときらなちゃんと喋っていた。ここちゃんはいつもどこかへ走っていってしまって挨拶はできなかった。


「きらなちゃんはハンバーグが好きなの?」


 さっきもらったきらなちゃんのプロフィールを見ながら話をした。


「うん、ハンバーグ好き! エビフライも好きだけどやっぱりお肉が好き! 焼肉も好きだよ! あとステーキも!」

「そうなんだ。私、お肉よりお魚の方が好きかな」

「ええー! そんなことある? 絶対お肉だよ! お肉が一番! じゃあたかしちゃんは何が好きなの?」

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