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たかしちゃん  作者: 溝端翔
たかしちゃんと違和感
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壁一面に、たぶんアイドルの人たちのポスターが張り巡らされていた

「おじゃましまあす」

「おかあさん! 友達きた! あ、靴はそこら辺に置いといて、私の部屋は二階だから、二階いこ」


 ゆうこちゃんに連れられて、二階のお部屋に入った。


「わあ! すごい!」

「うひゃー」


 壁一面に、たぶんアイドルの人たちのポスターが張り巡らされていた。


「ね、何にもないでしょ?」

「どこが何にもないよ。何この部屋、男だらけじゃない」

「かっこいいでしょ、全部テンペストだよ」

「すごいねえ」


 私なら恥ずかしくってこんなことできない気がする。これを天とかお母さんとかお父さんに見られるってなったら絶対恥ずかしい。


「よくもまあこんなに集めたわね」

「うん。頑張った。ちょっとずつ増えてってやっと壁全面に貼れたんだー」

「ほんとにアイドルがすきなんだねえ。CDとかもいっぱいある」

「あ、そうだ、たかしちゃんちょっとこっちきて」

「なになに?」

「綺羅名ちゃんは来ちゃダメだよ! そこで待ってて。綺羅名ちゃんにもあとで見せてあげるから」

「わ、わかったわよ……」


 ちょっと悲しそうにきらなちゃんが肩を落とした。


「みてみて、これがねえ、BLの漫画だよ」


 ゆうこちゃんはひそひそ声で私にだけ聞こえるように言った。


 BLってなんだっけ、ボーイズラブだっけ。


「わっ」


 一気に顔が熱くなる。ゆうこちゃんの開いたページには男の人同士がキスをしているシーンが描かれていた。


「まだまだ序の口だよ。こっちなんてねえ」

「ひゃっ」


 お尻に……。お、お、おち。もう絶対にテレビに映せないことが描かれている。


 こ、こんなのいいの?


 こんなの持っててもいいの?


 私はほっぺを抑えながらへなへなとその場にへたり込んだ。頭からは煙が出てる気がする。それくらい顔が熱い。


「たかしちゃんどうしたの?」


 きらなちゃんが不思議そうに近寄って来て私の顔を覗いた。

 うう、きらなちゃんに見られるのも恥ずかしいよう。


「あんた何見せたの?」

「くくく、何って、漫画だよ?」

「何の漫画見せたの!」


 きらなちゃんはゆうこちゃんの持っていた本を取り上げた。


「あああー!」

「くくく、バレちゃった」

「あんたこれエロ本じゃない! しかも普通じゃない! BL! こんなもんたかしちゃんに見せちゃだめじゃないの!」

「いいじゃん、勉強だよー」

「たかしちゃんは勉強なんてしなくていいの! 純真無垢でいてもらうんだから」

「でももう見せちゃった。てへ」

「てへ。じゃないわよ! まったく、油断も隙もないんだから」

「あははー、楽しかった。たかしちゃん目をまん丸にして顔真っ赤にしてるんだもん。ほんとに純真無垢だなあ。もっといろいろ教えたくなっちゃう」

「たかしちゃんはそういうのは興味ないの! まったく、困ったもんね」


 なんかドキドキする。なんか辺な気持ちが込み上げてくる。気がする。


「ふう。び、びっくりしたあ」


 さっきの漫画、どんな内容なんだろう。何であんなことになっちゃうんだろう。


 き、気になる。けど。はずかしい。


「たかしちゃんにはいつでも貸してあげるからねー。どんどんおかずにつかってね」

「漫画がおかずになるの?」


 焼くの?


 食べるの?


「もう! たかしちゃん、今のは聞かなかったことにしなさい? おっけ?」

「う、うん」


 ふう、ドキドキする。すうー、はあー。ダメだ、ドキドキする。


「ちなみに普通のエロ漫画もお母さんの部屋にあるけどどうする? みる?」

「み、みないわよ! はやくたかしちゃんち行くわよ!」

「は、はあい」


 周りを見ても男の人ばっかり。えっちな漫画もいっぱい。ゆうこちゃんちは大変だ。ドキドキして止まらない。この気持ちはなんか多分ダメだ。ゆうこちゃんちにはあんまり来ないようにしよう。そうしよう。


 わたしたちは今度はきらなちゃんを先頭に階段を降りて家を出た。

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