あ、今たかしちゃん竹達くんのこと考えてた
「で、どうする?」
校門の前に来て、きらなちゃんが立ち止まった。
「優子って私たちとは反対なんだよね……」
「そっか、制服のままお家来るのは帰りが大変だもんね」
「ということは?」
「と、いうことは?」
「優子の家にみんなで行って、着替えて自転車を取りに行きましょう!」
「なるほど! ゆうこちゃん、いい?」
「う、うん。いいよ」
ゆうこちゃんはもう諦めたような顔をしていた。
うん、諦めていい。今日はもう私のお家で楽しく遊ぶんだ。
「ゆうこちゃんちは学校から近いの?」
「ううん、ちょっと遠いかな。二十五分くらい」
「わ、結構遠いねえ」
「てことは帰るまでに一時間くらいかかるわね」
「そうだね。急ぐ?」
「ううん、急がなくていいよ、ゆっくり歩こう。こっちの道来たことないから楽しい」
「そうね、私もあんまり通らないわね」
ただしくんもこっちだったよね。ただしくんのお家ってどこら辺だろう。
「あ、今たかしちゃん竹達くんのこと考えてた」
「ええっ、なんでわかるの?」
「ついにあんたもわかるようになったのね。これでたかしちゃんマスターよ」
「やったー。たかしちゃんマスターだ!」
「なによう。たかしちゃんマスターって。なんでわかるのさあ」
「内緒よ。ねー?」
「ねー」
「んもう。わかんないよう」
「たかしちゃんには分からなくていいの。こっちが勝手にわかって楽しんでるの」
「なんかずるいなあ。わたしも二人が阿瀬君とかひびとくんのこと考えてるところ当てたいなあ」
「私はそもそも考えないからねえ」
「私も。付き合ってないし、考えるのは天文部行った時くらいかなあ。あとお家にいる時」
「おうちにいるときには考えるんだ」
「うん、おかずにしたりむぐっ」
「ちょっと優子ストップ」
たかしちゃんはえっちなことあんまり知らないんだから。って聞こえて来た。おかずのどこがえっちなことなんだろう。エビフライとかハンバーグとかがえっちなのかな……。うーんわかんない。
「ねえ、なにがえっちなの? ハンバーグってえっちなの?」
「くくく、違うよ。そっちのおかずじゃないよ」
「ええ? それ以外のおかずがあるの? どういうこと?」
「いいの! たかしちゃんはまだ知らなくていいの! 優子ストップ!」
「はあい」
「あんたほんとエロねえ」
「綺羅名ちゃんだって理解できてるんだから十分えっちだと思うけどなあ」
「わ、私は知ってるだけよ。ほんとよ?」
「ほんとかなあ。私、ジャスコ行った日綺羅名ちゃんが何で遅刻したか何となくわかるんだよねえ」
「うるさい! わからなくていい!」
「あはは。えっちだえっちだ。たかしちゃんもえっちになればいいのに。たのしいよ?」
「うう。私は恥ずかしいからいいよう。えっちなのはみんなに任せる」
「そっか。せっかくの彼氏持ちなのに残念だ」
「残念じゃないよう」
「あ、こっち曲がるね」
「あんたさあ、やっぱなんかあったでしょ?」
「なんにもないよ。部活はちょっと疲れちゃっただけ。言わなくてごめんね?」
「うん、でも本当に何にもない? 日向さんたちにいじめられたりしてない?」
「してないよー。大丈夫」
私たちは、休み時間にどこに行ってるのか聞けなかった。なにかこれ以上踏み込めないような、そんな雰囲気に負けてしまった。
それからしばらく歩いて、優子ちゃんのお家についた。ゆうこちゃんのお家はきらなちゃんのお家と同じくらい綺麗な洋風の家だった。
「ちょっとまっててね。着替えてくるから」
「はあい」
「今何時くらいだろ」
「遅くても四時半くらいじゃないかなあ。ゆうこちゃん学校から二十五分って言ってたし」
「ねえ、優子の部屋気にならない?」
「うん、気になる」
「入らせてって言おうか」
「言ってみる言ってみる!」
しばらく待っているとゆうこちゃんがお洋服姿で出て来た。
襟の大きな服に、ハーフパンツとタイツを履いている。かわいい。
「ねえ優子。私たちね。優子の部屋入ってみたいんだけど、いい?」
「いいかな? いいかな?」
「え、私の部屋? なんにもないよ?」
「いいのいいの。どんな部屋なのかなあって気になってるだけだから」
「うんうん。ゆうこちゃんのお家入ったことないから入ってみたい」
「いいけど、ほんとになんにもないよ?」
「いいの!」
「じゃあいいよ。こっち、入って」
私たちはゆうこちゃんに続いてお家の中に入った。




