教室の真ん中で日向さんたちが笑っているのが見えた
「ねえたかしちゃん。やっぱり優子のやつ何か私たちに隠し事してるわ」
「うん。部活、行ってなかったね」
何かあったんだろうか。ゆうこちゃんが心配だ。嘘つくなんて。
「探す?」
「いいのかな……」
「いいじゃん。友達だよ? 何かあったらすぐ相談するって約束したじゃん。まだ優子は助けてって言ってないけど、助けてのサインかもしれない」
「でも、本当は友達ができて、その友達と楽しくしてるのかもしれないし……。こっそりひびとくんと仲良くしてるのかもしれない」
「そうだけどさ。今教室に芽有たちがいないんだよ。もしかしたらってことがあるかもしれないじゃん。たかしちゃんはほっとけるの?」
「そんなの、ほっとけないよ!」
「じゃあ決まり。探そ。そんでとっちめてやる。嘘ついてどっか行って。私たちに心配させたこと、後悔させてやるんだから」
「き、きらなちゃん。ゆうこちゃんになにするの……」
「別に何もしないわよ。まあこちょこちょとかはするかもだけど」
「そっか。うん。探す。ゆうこちゃん探す。きらなちゃん。行こ」
私たちは学校中を探し回った。
二年のクラス、一年のクラス、三年のクラス。
全部見回ったけど、どこにもいなかった。
グラウンドにも、旧校舎にもいなかった。旧校舎を出た時、チャイムが鳴った。
「ああん、みつからなかったわ」
「いなかったね」
「どこ行ったのかしら。休憩時間に問い詰めてやる」
五時間目と六時間目の間の休憩時間、ゆうこちゃんは何食わぬ顔で私の席に遊びに来た。
「優子。私たちに何か言うことはないの?」
「言うことって?」
「何かあったらすぐ相談するって言ったよね?」
「な、なんにもないよ?」
「嘘! あんた部活行ってないんでしょ。知ってるのよ友亜先輩と部長さんから聞いたんだから」
「う……」
ゆうこちゃんは言葉に詰まったように、声が出なくなった。
「それに、先輩と話してるなんてのもしてないって言ってたわ。あんた、本当は何してんの?」
「内緒……」
「なんで? あんた私たちの友達でしょ? どうして言えないのさ?」
「内緒だから、内緒なの」
「ばか! 私たちは心配してるんだからね! なんかに巻き込まれてるんじゃないかとか、また芽有にいじめられてるんじゃないかとか!」
「大丈夫。大丈夫だから」
ゆうこちゃんは教室から飛び出してしまった。
「優子!」
私は声が出なかった。ゆうこちゃんを呼び止めることができなかった。
教室の真ん中で日向さんたちが笑っているのが見えた。また日向さんたちが関わっているのかもしれない。私たちの何がそんなに嫌いなんだろう。どうしてそんなにも人を傷つけたがるんだろう。
「はあ。私、強く言いすぎたかも知んない」
「うん」
「難しいね、友達って」
わたしはきらなちゃんの頭を撫でた。
ゆうこちゃんはどうしたんだろう。何があったんだろう。
ゆうこちゃんと友達になったのは私だ。きらなちゃんは私が友達になったから、友達になってくれたんだ。私が何とかしなくちゃ。なのにゆうこちゃんが飛び出して行った時、何にもできなかった。
これじゃあだめだ。私はゆうこちゃんを守るんだ。
絶対に。ゆうこちゃんを守るんだ。
ホームルームが終わってすぐ、私はゆうこちゃんの席にいった。
「一緒に帰ろ?」
ゆうこちゃんは顔を逸らした。多分この後何かあるんだ。私たちには言えない何かが。それは多分、とっても辛いことなんだ。
「ほら、来て」
私はゆうこちゃんの手を引っ張りきらなちゃんの席に行った。
日向さんたちには絶対渡さない。私は強く手を握りしめた。
「よし、今日は部活ないし、優子もサボってるし、たかしちゃんち行くわよ。いいわね?」
「いいよ!」
ゆうこちゃんは黙ったままだった。
「さあ行こう今すぐ行こうもう行こう!」
「れっつごー!」
二人でゆうこちゃんの手を引いて教室を出た。教室に残っていた日向さんは、少し嫌そうな顔をしていた気がする。大丈夫。私がゆうこちゃんを守るから。




