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たかしちゃん  作者: 溝端翔
たかしちゃんと違和感
302/304

教室の真ん中で日向さんたちが笑っているのが見えた

「ねえたかしちゃん。やっぱり優子のやつ何か私たちに隠し事してるわ」

「うん。部活、行ってなかったね」


 何かあったんだろうか。ゆうこちゃんが心配だ。嘘つくなんて。


「探す?」

「いいのかな……」

「いいじゃん。友達だよ? 何かあったらすぐ相談するって約束したじゃん。まだ優子は助けてって言ってないけど、助けてのサインかもしれない」

「でも、本当は友達ができて、その友達と楽しくしてるのかもしれないし……。こっそりひびとくんと仲良くしてるのかもしれない」

「そうだけどさ。今教室に芽有たちがいないんだよ。もしかしたらってことがあるかもしれないじゃん。たかしちゃんはほっとけるの?」

「そんなの、ほっとけないよ!」

「じゃあ決まり。探そ。そんでとっちめてやる。嘘ついてどっか行って。私たちに心配させたこと、後悔させてやるんだから」

「き、きらなちゃん。ゆうこちゃんになにするの……」

「別に何もしないわよ。まあこちょこちょとかはするかもだけど」

「そっか。うん。探す。ゆうこちゃん探す。きらなちゃん。行こ」


 私たちは学校中を探し回った。


 二年のクラス、一年のクラス、三年のクラス。

 全部見回ったけど、どこにもいなかった。


 グラウンドにも、旧校舎にもいなかった。旧校舎を出た時、チャイムが鳴った。


「ああん、みつからなかったわ」

「いなかったね」

「どこ行ったのかしら。休憩時間に問い詰めてやる」


 五時間目と六時間目の間の休憩時間、ゆうこちゃんは何食わぬ顔で私の席に遊びに来た。


「優子。私たちに何か言うことはないの?」

「言うことって?」

「何かあったらすぐ相談するって言ったよね?」

「な、なんにもないよ?」

「嘘! あんた部活行ってないんでしょ。知ってるのよ友亜先輩と部長さんから聞いたんだから」

「う……」


 ゆうこちゃんは言葉に詰まったように、声が出なくなった。


「それに、先輩と話してるなんてのもしてないって言ってたわ。あんた、本当は何してんの?」

「内緒……」

「なんで? あんた私たちの友達でしょ? どうして言えないのさ?」

「内緒だから、内緒なの」

「ばか! 私たちは心配してるんだからね! なんかに巻き込まれてるんじゃないかとか、また芽有にいじめられてるんじゃないかとか!」

「大丈夫。大丈夫だから」


 ゆうこちゃんは教室から飛び出してしまった。


「優子!」


 私は声が出なかった。ゆうこちゃんを呼び止めることができなかった。


 教室の真ん中で日向さんたちが笑っているのが見えた。また日向さんたちが関わっているのかもしれない。私たちの何がそんなに嫌いなんだろう。どうしてそんなにも人を傷つけたがるんだろう。


「はあ。私、強く言いすぎたかも知んない」

「うん」

「難しいね、友達って」


 わたしはきらなちゃんの頭を撫でた。


 ゆうこちゃんはどうしたんだろう。何があったんだろう。


 ゆうこちゃんと友達になったのは私だ。きらなちゃんは私が友達になったから、友達になってくれたんだ。私が何とかしなくちゃ。なのにゆうこちゃんが飛び出して行った時、何にもできなかった。


 これじゃあだめだ。私はゆうこちゃんを守るんだ。

 絶対に。ゆうこちゃんを守るんだ。


 ホームルームが終わってすぐ、私はゆうこちゃんの席にいった。


「一緒に帰ろ?」


 ゆうこちゃんは顔を逸らした。多分この後何かあるんだ。私たちには言えない何かが。それは多分、とっても辛いことなんだ。


「ほら、来て」


 私はゆうこちゃんの手を引っ張りきらなちゃんの席に行った。

 日向さんたちには絶対渡さない。私は強く手を握りしめた。


「よし、今日は部活ないし、優子もサボってるし、たかしちゃんち行くわよ。いいわね?」

「いいよ!」


 ゆうこちゃんは黙ったままだった。


「さあ行こう今すぐ行こうもう行こう!」

「れっつごー!」


 二人でゆうこちゃんの手を引いて教室を出た。教室に残っていた日向さんは、少し嫌そうな顔をしていた気がする。大丈夫。私がゆうこちゃんを守るから。

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