きらなちゃんかわいいにゃ
ゲームセンタ―につくと、いくつものプリクラ機が並んでいた。ほかにもUFOキャッチャーとか、メダルゲームとか色々あって、そのどれもが自分を主張するように音を鳴らしていた。いろんな音が重なってきこえて騒がしい。
「緊張するよう。私プリクラ初めて」
「私は初めてじゃないけど、こんなに大人数でとるのは初めてね」
「私も初めてー」
「私もー」
れいかちゃんとゆうこちゃんは初めてなんだ。一緒だ。きらなちゃんは誰と撮ったんだろう。
「きらなちゃん。誰とプリクラ撮ったの?」
「内緒よ」
「シューくんだよねー。絶対そうだ」
「ああー、阿瀬君かあ。そっかそっかあ」
阿瀬君だ絶対。絶対そうだ。
「ちょっと? 勝手に話を進めないでくれる?」
きらなちゃんがけろっとした顔で言った。
「じゃあ違うの?」
「ち、違わないけど……」
さっきのけろっとした顔はどこへやら。はずかしそうに顔を赤らめた。
「やっぱり。仲良いねえ」
「付き合っちゃえばいいのにねー? ねえ、ゆうちゃんもそう思わない?」
「うん。そうおもう」
「あんたまで……まったく。まあいいわ、とりあえずこれにしましょうか」
きらなちゃんはかわいい女の子が大きくプリントされたプリクラ機を指差した。
「えーと、お金入れてっと、人数は四人で。これでーこれで。おっけ! よし! 中入ろっか!」
きらなちゃんが何か画面を操作してから掛け声をかけた。
「はあい」
みんなでゾロゾロと中に入った。
「ほら、並んで並んで。始まるよ」
きらなちゃんは私の横に立って、中腰にさせた。私たちの後ろにはれいかちゃんとゆうこちゃんが立った。目の前には画面があって、私たちが写っていた。
「ちゃんとカメラ見るのよ。この画面みてたら目線合わないことになるからね」
「はあい」
「どきどきだねー」
『それでは、まずはピースで撮りましょう』
画面に文字が表示された。
「ピースだって、両手ピースにする?」
「うーん、じゃあ両手ピースで」
「じゃあ両手ピースで! みんなちゃんとカメラ見るのよ」
「はあい」
3、2、1でシャッターが切られた。ちゃんと撮れたかなあ。
『次は小顔ポーズ。両手をほっぺに当ててね』
「小顔ポーズだって」
「おいしいのポーズだね」
「あはは、たかしちゃんおいしいのポーズって」
「そんなこと言われたらおいしいのポーズにしか思えなくなっちゃった」
「ええ、わたしそんな変なこと言った?」
「言った言った」
3、2、1.カシャ。
「あはは。絶対変な顔でとられたー」
「もう、たかしちゃんのせいだよ!」
「ええー! 私何にもしてないよう」
「おいしいのポーズって言ったもん! あはは」
「んもう、そんなに笑なくってもいいじゃん」
『次はニャンコのポーズ。おててをグーにしてにゃあ』
「にゃんこポーズだって。たかしちゃんそれちがうよ。それ猫耳。こうだよこう」
「あ、そっか、こっちかにゃあ」
頭に手を当ててた。これじゃあうさぎさんだ。にゃんこ、にゃんこ……。
「いいねいいね」
「きらなちゃんかわいいにゃ」
「たかしちゃん語尾がにゃになってるよ」
「え、ほんとかにゃ。ありゃりゃ。このポーズしてるとにゃって言っちゃうにゃ」
「あざといわねえ。こんど忠の前でやってみなさい。いちころよ」
「もう、ただしくんの話は禁止にゃ」
「ふふふ、わたしも語尾ににゃ付けようかにゃ」
「あ、れいかちゃんかわいいにゃ」
「ほら、ゆうちゃんもやってみにゃ」
「にゃ、にゃあ」
「わー、一番可愛いかも。何その破壊力」
「なにやってんの。撮られるわよ」
「はいにゃ」
3、2、1。カシャッ。
「ふう、びっくりしたあ。にゃんこにゃんこって思ってたら語尾がにゃになっちゃった」
「そんなことにはならないわよ。たかしちゃんって意外とあざといわよね」
「あ、あざとくなんかないよう。わざとじゃないもん」
「まあそんなとこが可愛いんだけど。多分次で最後ね」
もう最後かー。
『次が最後です。好きなポーズで撮りましょう』
「好きなポーズってさ、じゃあみんなでひっつきましょ。親友のポーズ!」
「いいねえ! ぎゅー!」
私はきらなちゃんにぎゅーした。きらなちゃんも私にぎゅーをした。
「あ! ずるいずるい。私も混ぜて!」
れいかちゃんはきらなちゃんの横に立ってきらなちゃんにぎゅーをした。
「ほら、ゆうこちゃんおいでー!」
「うん!」
ゆうこちゃんは私の隣に立ってわたしにぎゅーってした。
「もうちょっと後ろ下がった方がいいわね。はーい、下がるよー」
とたとたとみんなで連なって後ろに下がった。
しあわせだなあ。こんな時間がずっと続けばいいのにな。
3、2、1、カシャ。




