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たかしちゃん  作者: 溝端翔
たかしちゃんとプール
251/275

な、内緒だもん

「んー、何でもいいかなあ、食べれたら。たかしたこ焼き食べたいんだろ? あっち並ぶか?」

「うん」

「忠は優男だねえ。じゃあ僕たちもあっちならぼっか。僕もたこ焼きにする」

「優男はどっちだよ。自分だって御城に合わせてるじゃねえか」

「僕はみんなに優しんだよ。もちろん忠にだって優しいよ?」

「嘘つけ。じゃ綺羅名、また後で」


 私たちは焼きそばの列から離れてたこ焼きの列に並んだ。


「たこ焼きのソース自分でかけれるんだって! 鰹節とか青のりも。なんかワクワクするね」

「ソースいろんな種類ありそうだなあ。何が美味しいかなあ」

「あんま変な奴とかやめとけよ、まずかったらショックだぞ」

「はあい」

「まあそんなまずいソースは置いてないと思うけどね」

「わかんねえだろ? あー、でもミックスとかしたら面白いかも」

「それこそ不味くなりそうだよ?」

「だよなー。ってか結構並んでんな。これ今焼いてんの?」

「焼いてるっぽいねえ。作り置きとかはなさそう」

「結構時間かかりそうだなあ。って言ってももう一回あの列に並び直すのも嫌だしな」


 向こうの列はさっきよりも長く伸びていた。


「まあ、待つか」

「うん、待つしかないね」

「じーっ」


 れいかちゃんが私の事をじっと見ている。どうしたんだろう、まただこ焼き食べてないから顔に何かつくわけもないのにな。


「たかちゃんってさ、ただしーのことほんとに好きなんだね」

「え、えええ、な、なんで」

「だって、ただしーの顔ちらちら見てるし、なんか隣にいるだけで幸せそうだし。手がピクピクしてるし。ほんとは手繋ぎたいんでしょ」

「うっ、な、内緒だもん」

「だからたかし、それ、内緒になってないんだってば」

「なんで? 繋げばいいじゃん。私たちがいるから? 別に気にしなくってもいいよ? ね、はじめん」

「うん、僕は別に冷やかしたりはしないよ。て言うかむしろジリジリされる方が冷やかすかも」

「だ、だって……恥ずかしいし」

「もう恋人同士なのはバレてるんだしさ。いいじゃん。繋いじゃいなよ」

「うう、そう言われても……。恥ずかしいのは恥ずかしいもん」

「じゃあここはただしーの出番だね。男見せる時だ」

「え、俺の番? 何。どう言うこと?」

「ほら、彼女が待ってるよ? いいの? ほったらかしにしちゃって」

「いや、何で、いや、ほら。……ああ、もう。わかったよ。繋げばいいんだろ? 繋げば!」


 ただしくんは私の手をとって握ってくれた。でも、今目の前にはれいかちゃんも縫合くんもいる。すっごい恥ずかしかった。


「うんうん、恋人みたいになったね。これでたかちゃんが誰かに声かけられることもないね。ただしーちゃんと守ってあげなよー?」

「お、おう」

「れ、れいかちゃんは。れいかちゃんは好きな人とかいないの?」

「うーん、前も言ったけどあんま考えたことないかなあ。水泳の方が好きだし」

「じゃ、じゃあ縫合くんは?」

「僕も別にって感じかなあ。かわいいとかは思ったりするけど、好きかって聞かれるとうーんって感じするなあ」

「そう、なんだ」


 ダメだ。この二人には仕返しができない。からかうところがない。でも、二人はからかって言ってるわけじゃないんだよね。私たちのために、言ってくれてるんだよね。


「とか言ってるうちに私たちの番だ」


 れいかちゃんが先に注文をして、その後縫合くんが注文をした。その後に並んでいた私たちが注文をすると「ちょっとお待ちください」と言われた。


「ちょうどたこ焼きがなくなっちゃって、一五分から二十分待ってもらってもいいですか?」

「ここまできたら、待つしかないよな」

「そだね。れいかちゃんたちは先戻ってて。たこ焼き買ったら戻るから」

「はいはい。残念すぎたねえ、後もうちょっとだったのに」

「じゃ、僕たちは先行ってるから」

「おー、みんなによろしくー」

「はーい、任せてー」


 フードコートから二人は出て行った。多分、きらなちゃんたちもお母さんのところにいってるはず。


「……二人きりになっちゃったね」


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