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たかしちゃん  作者: 溝端翔
たかしちゃんとプール
236/275

あー、たかしちゃんえっちー!

「教えてよう」

「だーめ、私だけの秘密なの」

「はいはい! 私もわかるような気がしてきた!」

「お、麗夏も気づいた? わかりやすいよねー」

「うん、今のはパスタ食べててわかんなかったけど」


 な、なんでわかるんだろう。私何もしてないのに。


「どうせ忠と一緒にここ来たいなあって考えてたんでしょ?」


 あれ、考えてたことまではわかんないんだ。


「ううん、そんなことは考えてないよ?」

「あら、外しちゃったかー。何考えてたの?」

「ただしくんっておっきいおむ……ね……。わああ! なんでもない! 内緒!」


 変なこと言っちゃった。流されちゃった。ううう、ばかばか。


「お胸? あー、おっきいのとちっさいのどっちが好きなんだろう的な?」


 ぎくっ。当たってる。こう言う時なんて返事したら誤魔化せるんだろう。


「そ、そんなんじゃないよう」

「なるほどね、まあ忠はおっきいのにそれほど興味はなさそうよね」

「だからそんなんじゃないってばあ」

 全然誤魔化せなかった。失敗した。

「ただしってそもそもエロいことに興味あんのかな。なんかあんまりそういうの興味ないような気がするんだよねえ。うちの蹴人は興味あるみたいだけど」

「そうなの?」

「中一の時ベッドの下からえっちな本見つけてさー。そーっと隠しておいたわ。触れないことにした」

「わあ、阿瀬君えっちだー」

「まあシュー君も男の子だもんねー」

「その点忠はあんまりエロを感じないんだよね。ベッドの下は知らないけどさ。たかしちゃんもしたのってちゅーだけでしょ?」

「う、うん」

「なんか恋人になったらさ、裸見せてーとか、おっぱい触らせてーとか言ってきそうじゃない? 普通。わかんないけど。蹴人なら言ってきそうだわ」


 阿瀬君えっちなんだあ。そんなふうには見えないけどな。ただしくんもそんなふうには見えないけど、どうなんだろう。我慢とかしてるのかなあ。


「まあわかんないけどね。忠も急に迫ってくるかもしれないよ。ベッドに押し倒してくるかも」

「えええ、そんなことするのかなあ。されたらどうしよう……」

「嫌ならちんこ蹴っちゃえばいいのよ!」

「ち。えええ。そんなことできないよう。それに」


 ただしくんなら。怖くない。かも。しれない。


「あー、たかしちゃんえっちー!」

「えっ? なんでなんで、私何にも言ってないよ?」

「だって忠ならいいかなとか考えたでしょー。絶対そうだ!」

「ううう、そ、そんなことないもん!」


 なんでバレてるの。絶対おかしい。


「たかちゃんえっちー。でもきらちゃんもえっちだよー。シュー君ならいいって思ってるんでしょー?」

「ぎくっ。そ、そんなこと、思っていませんわ」

「ほらー、変な口調になってるし。絶対そう思ってるんだー」

「だって! そもそも五年生まで一緒にお風呂入ってたんだから、別にいいでしょ!」

「えっちえっちー」


 きらなちゃんもえっちなんだ。私も、こんなこと考えて、えっちなのかな。ただしくんに嫌われないといいな。


「さ、ほら、食べるわよ。水着買いに行かないと。夜になっちゃう。帰るのに一時間半もかかるんだからね」


 ぱく。ぱく。と急かされるようにチョコバナナクレープを食べすすめた。メガだけあってボリュームがすごい。二人がご飯を食べ終わっても私はクレープを食べていた。


「たかしちゃん本当に食べるの遅いよねえ」

「きらなちゃんが食べるの早いんだよう」

「私は普通くらいだと思うけどもう食べ終わったよ?」


 れいかちゃんも綺麗に完食している。でも百回噛まないと。あんまり大きい一口で食べたら口の横にクリームがつきそうで、小さい一口しか食べられない。小さくても大きくても、百回は百回だ。まだクレープは半分くらい残ってる。なんだかもうお腹いっぱいになってきた。

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