あー、たかしちゃんえっちー!
「教えてよう」
「だーめ、私だけの秘密なの」
「はいはい! 私もわかるような気がしてきた!」
「お、麗夏も気づいた? わかりやすいよねー」
「うん、今のはパスタ食べててわかんなかったけど」
な、なんでわかるんだろう。私何もしてないのに。
「どうせ忠と一緒にここ来たいなあって考えてたんでしょ?」
あれ、考えてたことまではわかんないんだ。
「ううん、そんなことは考えてないよ?」
「あら、外しちゃったかー。何考えてたの?」
「ただしくんっておっきいおむ……ね……。わああ! なんでもない! 内緒!」
変なこと言っちゃった。流されちゃった。ううう、ばかばか。
「お胸? あー、おっきいのとちっさいのどっちが好きなんだろう的な?」
ぎくっ。当たってる。こう言う時なんて返事したら誤魔化せるんだろう。
「そ、そんなんじゃないよう」
「なるほどね、まあ忠はおっきいのにそれほど興味はなさそうよね」
「だからそんなんじゃないってばあ」
全然誤魔化せなかった。失敗した。
「ただしってそもそもエロいことに興味あんのかな。なんかあんまりそういうの興味ないような気がするんだよねえ。うちの蹴人は興味あるみたいだけど」
「そうなの?」
「中一の時ベッドの下からえっちな本見つけてさー。そーっと隠しておいたわ。触れないことにした」
「わあ、阿瀬君えっちだー」
「まあシュー君も男の子だもんねー」
「その点忠はあんまりエロを感じないんだよね。ベッドの下は知らないけどさ。たかしちゃんもしたのってちゅーだけでしょ?」
「う、うん」
「なんか恋人になったらさ、裸見せてーとか、おっぱい触らせてーとか言ってきそうじゃない? 普通。わかんないけど。蹴人なら言ってきそうだわ」
阿瀬君えっちなんだあ。そんなふうには見えないけどな。ただしくんもそんなふうには見えないけど、どうなんだろう。我慢とかしてるのかなあ。
「まあわかんないけどね。忠も急に迫ってくるかもしれないよ。ベッドに押し倒してくるかも」
「えええ、そんなことするのかなあ。されたらどうしよう……」
「嫌ならちんこ蹴っちゃえばいいのよ!」
「ち。えええ。そんなことできないよう。それに」
ただしくんなら。怖くない。かも。しれない。
「あー、たかしちゃんえっちー!」
「えっ? なんでなんで、私何にも言ってないよ?」
「だって忠ならいいかなとか考えたでしょー。絶対そうだ!」
「ううう、そ、そんなことないもん!」
なんでバレてるの。絶対おかしい。
「たかちゃんえっちー。でもきらちゃんもえっちだよー。シュー君ならいいって思ってるんでしょー?」
「ぎくっ。そ、そんなこと、思っていませんわ」
「ほらー、変な口調になってるし。絶対そう思ってるんだー」
「だって! そもそも五年生まで一緒にお風呂入ってたんだから、別にいいでしょ!」
「えっちえっちー」
きらなちゃんもえっちなんだ。私も、こんなこと考えて、えっちなのかな。ただしくんに嫌われないといいな。
「さ、ほら、食べるわよ。水着買いに行かないと。夜になっちゃう。帰るのに一時間半もかかるんだからね」
ぱく。ぱく。と急かされるようにチョコバナナクレープを食べすすめた。メガだけあってボリュームがすごい。二人がご飯を食べ終わっても私はクレープを食べていた。
「たかしちゃん本当に食べるの遅いよねえ」
「きらなちゃんが食べるの早いんだよう」
「私は普通くらいだと思うけどもう食べ終わったよ?」
れいかちゃんも綺麗に完食している。でも百回噛まないと。あんまり大きい一口で食べたら口の横にクリームがつきそうで、小さい一口しか食べられない。小さくても大きくても、百回は百回だ。まだクレープは半分くらい残ってる。なんだかもうお腹いっぱいになってきた。




