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たかしちゃん  作者: 溝端翔
たかしちゃんとプール
235/276

ポテチ三袋とか食べる時もあるよ

「抹茶クレープとほうじ茶クレープですか? どちらも美味しいですよ?」


 ダメだ。聞いても意味がなかった。どっちも美味しいんだって。じゃあどっちも食べたいよう。くうう。やっぱり、ほうじ茶クレープにしよう。ほうじ茶なんて珍しいし、そうだ。ほうじ茶クレープにしよう。


「たかしちゃーん! いたいた! こんなところでメニュー表睨みつけて何やってんの? まだ頼んでないの? もう座ってると思ってたから探しちゃった」

「あれ、きらなちゃん。ご飯は?」

「私醤油ラーメンのチャーハンセットにしたよ。今待ってるところ。ほら」


 きらなちゃんの手にはご飯ができたらピーピーなって震えるやつがあった。


 そうだ、きらなちゃんに聞いてみよう!


 それがいい、そうしたら絶対にまちがいがない。


「きらなちゃん、抹茶とほうじ茶のクレープだったらどっちがいい?」

「うーん、迷うけど抹茶かなあ、抹茶の方が美味しかったはず」

「それなら……」

「いたー。ちょっと二人ともこんなところで何やってんの?」


 れいかちゃんも音が鳴って震えるやつを持って私の元にやってきた。


「えっと、抹茶かほうじ茶かどっちにしようか迷ってて」

「あー、なるほどね。それなら断然ほうじ茶ね」

「えええ」

「何言ってんの、抹茶でしょ?」

「いや、ここのほうじ茶はかなり美味しいって有名よ?」

「そうなの? 絶対抹茶の方が美味しそうなのに」

「いや、絶対ほうじ茶のほうがいいわ」

「うう、迷っちゃうよう」

「たかしちゃん悩みすぎ。ちなみに私はチョコバナナ一択だけどね」

「私もー、ていうかここのクレープチョコバナナしか食べたことないかも」

「私もそうかも」

「ふふふ」


 二人が楽しそうに笑っている。なんだろう。この取り残された感覚は。二人とも、抹茶もほうじ茶も食べたことなかったんだ。チョコバナナしか食べたことなかったんだ。うわ、すごい。ここのチョコバナナ、メガチョコバナナって書いてある。普通のチョコバナナはなさそうだな。今度、お母さんと来ようかな。それかただしくん誘って来ようかな。その時に抹茶とほうじ茶の食べ比べをしよう。うん、そうしよう。


「あの、メガチョコバナナひとつください」

「やっぱチョコバナナだよねー」

「ねー」


 うん、やっぱりクレープはチョコバナナだ。


 クレープを受け取って、きらなちゃんの前の椅子に座った。本当に大きいクレープだった。全部食べきれないかもしれない。

 れいかちゃんがパスタを持ってやってきた。カルボナーラっぽい。美味しそう。私はパクリとクレープを食べた。


「美味しいねー」

「うん、こっちのパスタも美味しいよー」

「クレープも美味しい」

「ふふ、たかしちゃんだけ変なのー。デザートじゃん」

「えー、だってご飯食べたらクレープ食べられないんだもん」

「それなら仕方のないかー。私だったらこれ食べた後にメガメガチョコバナナクレープでもペロリだけどなー」

「きらちゃんそれは食べ過ぎ」

「食べ放題の焼肉行って、お腹妊婦さんみたいになったことあるよ」

「えええ、そんなに食べたの?」

「あの時は苦しかったなあ」

「ほんとなんで太らないんだろう。羨ましいなあ」

「私も太っちゃうからお菓子とかあんまり食べないようにしてる」

「だよねー。たかちゃんそれわかるー。じゃがりことか好きなんだけどなあ」

「私は気にせず食べてるなあ。ポテチ三袋とか食べる時もあるよ」

「そんな……。不公平だ。きらちゃんなんの運動もしてないのに……」


 いいなあ、きらなちゃんは。本当にお胸に栄養が行ってるのかなあ。私もこのクレープがお胸に行けば……。ううん、それはそれで恥ずかしいからなし。私のお胸はこのままでいいの。うん、このままでいい。でも、ただしくんはどっちが好きなんだろう。やっぱおっきい方かなあ。


「たかしちゃんクレープ食べながら忠のこと考えてるでしょ」

「にゃっ。な、なんでわかるのさ」

「わかるのよ。なんでかは教えないけど」

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