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たかしちゃん  作者: 溝端翔
たかしちゃんとプール
233/274

というかぐうって音が聞こえた

 呼んでみたけど、こんな小さい声じゃあ届かなかった。もっと大きい声出さないと……。うう、恥ずかしい。でも呼ばないとずっとこのままになっちゃう。


「きらなちゃーん、れいかちゃーん」


 勇気を振り絞って大きな声で呼んだ。そしたら二人とも来てくれた。


「どう? 着れた?」

「うん、着れたよ」

「見せて見せて!」

「絶対似合ってると思う!」


 私はカーテンを開けた。


 お店の中で水着姿を披露している。恥ずかしい。


「おおお! やっぱ似合う! 絶対これがいいって!」

「ね! これたかちゃんめっちゃ似合ってるよ! すっごいいい感じ!」

「私も、これ似合うなあって自分で思う」

「だよね! だよね! 絶対似合ってるって! もうたかしちゃんこれ買っちゃいなよ!」

「で、でもまだ二つお店があるから、そこにいいのがあったらショックだから。全部見てからにする」

「そっかー、じゃあ第一候補だね。なんかみてたけど私っぽいのはなかったし、麗夏に似合いそうなのもなかったから一回のポップアップショップ見にいこっか」

「うん。れいかちゃんの有るといいけど……」

「なかったら最悪部活の水着だね」

「えー、なんかやだなあ。でもここちゃんはスクール水着で来るんだよね?」

「うん、そう言ってたわ」

「じゃあお揃いだ」

「えー、なんかやだなあ。私も水着欲しい」

「まあ、あと二店舗あるから、絶対見つかるって。取り敢えずポップアップショップはそこのエスカレーター降りたところにあるらしいから、行ってみましょ」

「はあい」


 みんなでエスカレーターに乗って下に降りる。降りてる最中にいろんな水着が並んでるのが見えた。


「ここね。うーんちょっと奇抜ねえ。あんまり麗夏っぽくないわ。れいかはさ。胸出したい? 隠したい?」

「出したら出したで『ちっさ』ってなりそうだからなあ。特にきらちゃん一緒だし。たかちゃんも結構あるし」

「私は普通くらいだよう」

「そうだなあ、なんかひらひらで隠れてる方が胸ありそうに見えていいかなあ。わかる? なんか胸にひらひらがついてるやつ」

「わかるわかる。ひらひらね。ここほとんどビキニねー。と言っても私に似合いそうなやつもなし……。なんかあんま売れなそうなやつばっかりね」

「ここはあんまり可愛くないかも……」

「じゃあ三階の水着屋行ってみますか。そんで、いいのあったら買って、ジェラート・ジェラール行ってから第一候補買うなら買うって感じで!」

「それよりさー、お腹空かない?」


 れいかちゃんがお腹を押さえながら……というかぐうって音が聞こえた。


「確かに、お腹すいたわね。今何時かしら……。もう二時ね。そういやご飯食べてないもんね。何食べる?」

「フードコート行こ」

「フードコートでなんか食べるかー!」

「うんうん! 食べよ!」


 二階にあるフードコートに向かって歩き出した。何食べよっかなあ。


「何食べる? ラーメン?」

「ラーメンもいいよねえ。チャーハンセットとか」

「いいねえ。でもパスタもあるよねえ。ピザとかオムライスとかもあった気がする」

「ステーキもあったはず!」

「ステーキ……素敵ね」

「…………」

「きらなちゃんってたまあにおじさんになるよね」

「たかしちゃん?」

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