きらなちゃんがもじもじしている
色とりどりの水着が売っていた。いろんな形、いろんな色がある。どれも布の面積が狭い。
下着屋さんみたい。
これを着るのか……。
そう思うとかわいいよりも恥ずかしさの感情が増してきた。
「とりあえずみてまわる?」
「そうだね、どんな水着があるか確認しよっか」
「う、うん」
「お、たかしちゃんが恥ずかしがってるぞー。ダメだからね。着るんだからね」
「は、はあい」
黒い水着に、花柄の水着、胸の左右が分かれている水着に分かれてない水着、上下も分かれていない水着に、ヒラヒラがついた水着。本当にいろんな水着があった。
「ねえ、たかちゃん。きらちゃんこれ似合うと思わない?」
れいかちゃんは黒いビキニを持っていた。紐のところに金のウネウネがついている。上は三角形で布面積が少ないし、下もパンツみたいで相当だった。でも、似合うと思った。
「似合いそう! すごくいい感じ。きらなちゃんっぽい!」
着ているところを想像できる。中学生っぽくない水着だけど、きらなちゃんには絶対似合うと思う。
「きらちゃーん、これどう? きらちゃんに絶対似合うと思うんだけど」
「うは。すっごいねこれ。でもかわいい。かっこいい? ちょっと着てみよっかなあ」
「うん、着てみな着てみな!」
「じゃあ試着してくる!」
きらなちゃんは試着室に入っていった。
「絶対似合うよね、大人っぽくてさ。いいなあきらちゃんは、胸がおっきくて。こういう時にかわいいのとかエロいのとか着れるじゃん」
「え、えっちなの着たいの?」
「せっかくだし着てみたいじゃん。どうせ私の水着は子供みたいなやつになるんだよ。知ってるの。そもそも胸がちっさすぎて合う水着がないかも……」
「そ、そんなことないよ! 絶対可愛いやつ見つけるもん!」
「ふふ、ありがと。じゃあ絶対見つけてもらおーっと!」
「うん! 任せて!」
私は一生懸命水着を探した。すると「たかしちゃーん」という声が試着室の方から聞こえてきた。
「なになにー? 着れたー?」
きらなちゃんが、試着室のカーテンから顔だけ出していた。
「流石にちょっと恥ずかしいかも……」
「えー、きらちゃんでも恥ずかしいことってあるんだ」
「あるわよ! 私を変態みたいに言わないで!」
「どれどれー? どんなー?」
「こんななんだけど……」
きらなちゃんがカーテンを開けた。そこには綺麗でかっこいい女の子が立っていた。
「うわあ、すっごい似合うねー。それにエロいねえ」
「うん、とっても似合う。ちょっとえっちだけど」
本当に上はブラジャーみたいで、下はパンツみたいだった。だけど水着として売られているものだから、これで正解なんだと思う。
「ちょっと中学生にしてはエロすぎない? 流石にちょっと恥ずかしいんだけど」
きらなちゃんがもじもじしている。珍しい。かわいい。
「でも似合ってるよ? 第一候補じゃない? シューくんもメロメロよ。この金の感じがいいね。外国って感じがする」
「そうだといいんだけどさあ。取り敢えず第一候補ってことで、他のもみてみようよ」
「そうだね。まだあと三店舗もあるし、この店も見終わってないしね」
三人で一緒に水着を探した。かわいいのとかかっこいいのとかあったけど、きらなちゃんに似合いそうなのはさっき試着したあの一つだけで、それ以外にはめぼしいものはなかった。
「うーん、なかったねえ、たかしちゃんとか麗夏にも似合いそうなやつなかったね」
「可愛いのはあったけどサイズがなあって感じだった。困るよねえ貧乳は」
「だ、大丈夫だよ、次のお店にはあるよ!」
「そうだといいなあ」
私たちはきらなちゃんの第一候補を買われないように後ろの方に隠してから、二階にある二つ目の水着屋さんに向かった。




