ジャスコは私にとってテーマパークだ
ジャスコは私にとってテーマパークだ。遊園地とか、そういうところはあまり行ったことがないからちゃんとは比べられないけれど、ジェットコースターやメリーゴーランドに乗るよりも、私は服を見たい。可愛い服をたくさん見たい。
八月十日、私たちはジャスコに来た!
「ついたついたー。よかったー無事着いたー」
暑い夏の空の下を自転車で一時間半かけてようやく着いたジャスコの中はとても涼しい。それに可愛いものがたくさんあって、私にとって楽園だった。どこを見渡しても可愛い服がたくさんある。
「蹴人と忠もくればよかったのに」
きらなちゃんは辺りを見渡しながら言った。
「ただしーは公園までは来たんでしょ? シューくん来なかったから帰っちゃったって言ってたよね。たかちゃん寂しいでしょ」
「うん、ちょっと寂しい。来てくれるかと思ったのに」
ただしくんがそこまで来たのに帰っちゃったのは本当に残念だった。阿瀬君さえ来ていればって思った。
「まあ来なかったものは仕方がない。明日思う存分遊ぶためと思いましょ。とりあえずさ、フードコート行かない?」
「うん、いいよ」
私たちはひとまず二階にあるフードコートに向かった。
フードコートにはたくさん机と椅子が並んでいた。いろんなご飯の匂いや甘いお菓子の匂いが立ち込めていてお腹が減ってくる。
「きらなちゃん、ご飯食べるの?」
「ううん、喉乾いたから水飲むだけー、みんなも飲んどきなさい。自転車漕いで喉乾いたでしょ」
「はあい」
私たちは紙コップ入れから紙コップを一つずつ引っ張り出して、水を汲んで飲んだ。喉を水が通っていくのがわかる。お腹の中が冷たくなって気持ちいい。
「よし。じゃあさ、どうする? まず水着買いに行く? パジャマ買いに行く? それともウィンドウショッピングでもする?」
きらなちゃんが人差し指を立てて提案をした。
「ううーん、どうしよっかあ」
「水着とかパジャマとか先に買いに行った方が売切れたりはしなさそうだねえ」
「でも先に買いに行ったら手に荷物増えちゃうよ? そうなったら邪魔じゃない?」
「そうだねえ、どうしよっか」
「まあでも、とりあえず水着屋さんまで歩いていこっか。その間に気になる店があったら入ろ! あと一階にポップアップショップも出てたから、そこも見に行きたいね」
「水着屋さんって何店舗ある?」
「えーっと、どうだろ、こっちこっち」
私たちはフードコートを出て案内板の前に立った。
「水着屋さんはーっと……」
「二階には二店舗かな。で、三階に一店舗? 結構あるねえ。それに一階にポップアップショップもあるんだっけ」
れいかちゃんがショップ案内のパンフレットを見て言った。
「じゃあ全部で四店舗かあ、パジャマ屋さんは何階にあるの?」
「ジェラート・ジェラールは三階にあるよ!」
「じゃあ取り敢えず二階にいるし、二階から見ていこっか」
「SM4ってあるかなあ。私ここのジャスコくるの初めてなんだよね」
「うーん、どうだろ。あるかなあ……」
きらなちゃんは首を傾げた。知らないかあ。きらなちゃんの服って感じじゃないもんね。きらなちゃんはもっとかっこいい服が似合うもん。
「SM4なら二階にあるね。多分この奥行ったところ」
パンフレットを持ったれいかちゃんが向こうのほうを指差した。
「わあ、見ていい? 見ていい?」
「いいよん。いろんなとこ見ていこー」
「じゃ、行くかー」
私たちは取り敢えず二階にある一番近い水着屋さんを目指して歩き出した。




