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たかしちゃん  作者: 溝端翔
たかしちゃんとお泊まり
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やっぱりお膝の上に座らせてもらってなでなでかなあ

「よし、多分溶けた。じゃあ最後は弱火で時々かき混ぜながら十分。弱火ってどれくらいだろう」


 これくらいかな。火をつけて弱火くらいだと思う大きさにした。キッチンタイマーをぐるっと回して十分のところに合わせた。


「あとちょっとだ」


 時々がわからなくて、ずっと混ぜることにした。美味しそうになってきたなあ。


 あれ?


 じゃがいもどこいった?


 気づけば、あれだけあったジャガイモの姿が見えなかった。にんじんと玉ねぎの姿は見える。でもじゃがいもの姿がない。


「あれれ。じゃがいもがないなあ」


 何度混ぜてもじゃがいもの姿は見えなかった。


「おっまたせー。聞いてよ! みんな金曜日一緒に買い物行かないって。水着も学校のがあるからいらないって」

「ええ、そうなんだ。ここちゃんは?」

「ここもよ。金曜日みんなでサッカーの予定だから行かないって。水着もあるからいいって」「ここちゃんもかあ。残念だなあ。ただしくんも来ないんだ」


 なーんだ、楽しみにしてたのにな。


「うん、忠も蹴人も来ないわ。二人が来ないから一も来ないって。ていうか金曜からからお盆休みらしいわ。サッカー部もバスケ部も。なのに来ないのよ?」

「あ、そうなんだ。休みってことただしくん教えてくんなかったなあ」

「なんですって? これは忠には厳罰を与えないとダメね。彼女に休みを教えてあげないなんて」

「厳罰かあ、何してもらおっかなあ」


 うーん、まようなあ。やっぱりお膝の上に座らせてもらってなでなでかなあ。


「なんかしてもらうのね」

「うん、内緒。そういえばれいかちゃんは? 部活休み?」

「内緒ねえ。なるほど? れいかは部活あるらしいわ、お盆休みは十一日からだって」

「部活かあ。じゃあプールには一緒に行けるのかな」

「いや、金曜日は麗夏部活サボってくるって。水着一緒に買いに行きたいって言ってたわ」

「そうなんだ。れいかちゃん先生に怒られないかなあ。こないだもサボってたのに。しかもお盆休み最後だよ?」

「いいんじゃん? たまには息にきもさ。部活ばっかじゃ疲れるだろうし。お盆休みが一日延びるだけよ」

「そ、そっか。じゃあ三人でお買い物かあ。縫合くん久しぶりに会いたかったなあ。縫合くんだけ全然あってないんだもん」

「確かに、一は裁縫部で毎日部活あるわけじゃないしね。水風船でみんなで遊んだ時以来じゃない?」

「そうかも」

「浮気しちゃダメよ?」

「しないよう。縫合くんは裁縫上手って聞いて気にはなったけど、ただしくんのぬいぐるみ好きみたいにビビッとこなかったもん」

「忠にはビビッときたのね」

「うう、多分。ちょっと……。そういえばお買い物ってどこいくの?」

「うーん、駅前のジャスコかな。自転車で一時間半くらい。麗夏の家からなら三十分くらいかな。あそこがこの辺で一番でかいし。あそこならいっぱい売ってそうだし。ついでにこのパジャマ売ってる店あるけど行ってみる?ジェラート・ジェラールって言うんだけど」

「わあ、行ってみたい。お金足りるかなあ。ちょっとお母さんにおねだりしないとかもしれない」

「いいじゃん、おねだりしよ! ちょっとくらい大丈夫だよ。せっかく遊びにいくんだからさ。ちなみに上下セットで一万円行かないくらい。水着もそのくらいじゃないかなあ」

「わあ、高いねえ。お年玉あるから足りると思うけどシュシュ作れなくなっちゃいそうだから、おねだりしてみる」


 お母さんお小遣いくれるかなあ。

 お母さんがダメならおばあちゃんに頼んでみようかな。


「そうだ! せっかくだからお揃いのパジャマ買おうよ!」

「うん、お揃いのパジャマ! 色違いにする? それともおんなじ色にする?」

「うーん、色違いもいいなあ、でもやっぱ同じ色かなあ、おんなじやつ買お! れいかも買ってくれるはず!」

「ほんと? お金持ってきてってお電話しとかなくて平気?」

「平気平気、あいつお金持ちだから。お嬢様だからね」

「ええ、そうなの?」

「お父さんなんかの社長って言ってたわ。クリスマスプレゼントとか七つくらいもらうんだって」

「七つ? サンタさん買収してるの?」

「あはは、そんなとこかも。でも多分お金なら心配いらないと思う。そうだ、せっかくだからただしとペアルックでも買ったら? プレゼントすればいいじゃん」

「わうう、それは流石に恥ずかしすぎるよう。なんかお揃いのキーホルダーとかならまだ平気」

「私とはペアルックできるのに?」

「きらなちゃんとはいいのー。お友達だから平気ー」

「そういうもんかねえ」

 チン。

 ニワトリのキッチンタイマーが鳴った。

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