きらなちゃん、よくこんな恥ずかしいことできるなあ
「わっ、寒っ。タオルタオルっと」
きらなちゃんは洗濯機の横にあった引き出しの中からタオルを二つ取り出して、一つ渡してくれた。私たちはお風呂場の中で体や頭を綺麗に拭いてから、洗面所に出た。
「あっ」
「ああっ。きらなちゃん、どうしよう。私、着替え持ってきてない」
水着のことばかり考えていて、着替えのことを全く考えてなかった。さっき着ていた服も下着もあるにはあるけど、汗だくだったから、せっかく綺麗になったのに着たくなかった。
「どうしよっか。たかしちゃん、このまま部屋まで走れる?」
「えええ!」
「大丈夫、お父さん帰ってこないから。男の人に見られる心配はないよ」
「む、むむむ無理だよう。流石に裸でお外に出るのは恥ずかしすぎるよう。お家でもできないよう」
「無理かー、たかしちゃんの着替えって持ってきた鞄に入ってるんだよね?」
「うん、そうだよ」
「仕方ない、私が走って取りに行ってくる。待っといて」
「ええ、きらなちゃん裸だよ?」
「仕方ないって言ったじゃん。家の中だから大丈夫だよ」
「きらなちゃんってここちゃんにはパンツーとか言うのに意外とそう言うことするんだね」
「まあ、家の中だし? お父さんいない時とかはパンツだけの時もあるよ」
「えええ、私は考えられないなあ。天もいるし。天がいなくてもできないかも」
「ってことで、ちょっと待っててね」
「あっ」
きらなちゃんは洗面所のドアから飛び出して階段を登っていった。ドアが開けっぱなしだ。私はタオルで前を隠しながらドアを閉めた。
「ふう。きらなちゃん、よくこんな恥ずかしいことできるなあ」
しばらく前をタオルで隠しながら待っていると、きらなちゃんがすっぽんぽんで入ってきた。手には私のカバンと、きらなちゃんの着替えを持っていた。
「きらなちゃん、着替えてこなかったの?」
「あ、そっか、着替えて来ればよかったのか。急がないとって思ってたらそんなこと思いつかなったや。まあいいじゃん、ほら、鞄持ってきたよ」
「ありがとう。きらなちゃんもうパジャマ着る?」
「うん、お風呂入ったしねー、パジャマ着る」
私はカバンの中からパジャマを取り出して着替えた。きらなちゃんはまた半袖短パンのもこもこしたかわいいパジャマだった。私のは普通の半袖半ズボンだ。黒猫柄が可愛い。
「髪乾かすの面倒だなあ」
きらなちゃんが頭をタオルで拭きながら言った。
「いいよ、私が乾かしてあげる」
「やったー」
ドライヤーできらなちゃんの髪を乾かす。ホットのターボでいっきに乾かしていく。手櫛で梳かしながらドライヤーを当てていると、みるみるうちに乾いていく。さっきよりも髪がくるくるになってきた。かわいい。
「はい、おっけー。じゃあ私は自分で乾かすね」
「えー? なんで? 私が乾かしてあげるよ」
「えっ、だって髪乾かすの面倒だなあって言ってたから」
「たかしちゃんの髪は乾かしてあげたいのー」
「ふふふ、じゃあお願いしようかなあ」
「お願いされました」
きらなちゃんに髪の毛を乾かしてもらうのは気持ちがよかった。熱い風がどんどん髪を乾かしていく。
「いいなあー、本当にサラサラなんだもんなあ」
「えへへー。自慢なんだー。きらなちゃんもくるくるしててかわいいよ」
「そう? たかしちゃんに言われたら嬉しいなー。そろそろご飯つくんないとね。今何時かな。リビング行こっか」
「うん。頑張って作ろ!」
お風呂を上がって、ほかほかになった体で涼しいリビングに入った。




