ねえねえ、黒髪の頃のお写真とかないの?
「きらなちゃんは一番のお友達だよー」
「えへへ、よかったー」
そうだ。
「ねえ、きらなちゃんってさ、一年生までは黒髪だったんだよね?」
「そうだよ、麗夏が引っ越すまではずーっと黒髪だった」
「れいかちゃんが引っ越してすぐに金髪にしたの?」
「うーん、すぐっていうか、一週間後くらい?」
「お母さんには怒られなかった?」
「うん、あなたがそうしたいならそうしなさいって。その頃からお母さん金髪だったし、それに、毎回ブリーチはお母さんにやってもらってるからね」
「ブリーチ?」
「うん、脱色のこと。髪の色を抜いて、金髪にするんだよ」
「へええ、そうなんだ。色抜いてるんだね」
髪の毛を金色に染めてるんだと思ってた。
「ちょっと痛いけどね」
「えええ、痛いの? それはやだなあ」
「ちょっとだけだけどねー」
「あのね」
「なにー?」
「きらなちゃんって、中一の時はれいかちゃんしかお友達がいなかったの?」
ずっと聞いてみたかったことを聞いてみた。
きらなちゃんはずっと私と遊んでくれている。
中一の時にお友達だった人はどうしたんだろう。ってずっと思っていた。他の友達からきらなちゃんをとっているんだとしたら、それは申し訳ないことをしている。私だけきらなちゃんを独り占めするのは良くない。
「ううん、そんなことないよ。私が制服改造して金髪にしたらみんな怖がって話しかけなくなっちゃっただけ。まあここだけは変わらずだけど」
そうなんだ。私も最初怖いと思ってたし。みんな話しかけなくなっちゃったんだ。
「でも、なんで?」
「だって、私とお友達になってから、ずっと私と遊んでくれてるから。他のお友達はどうしたのかなあって」
「ああ、そういうことね。そう言うことで言えば、仲のいいって言える友達は麗夏だけだったかもねー。同じ部活だったし。蹴人とはよく遊んでたけど、他の友達たちとは話はするけど放課後に遊んだりはしなかったかなあ。私も麗夏と遊べたらそれでよかったしねー。小学校の友達とかも、部活あったりで忙しくてあんまり話さなくなっちゃったからなあ。ここはここではいつも通り蹴人たちとばっかり遊ぶから」
「ここちゃんはすごいねえ」
「すごいのかな。わかんないけど。だから、今学校で友達と呼べる人はたかしちゃんとここしかいないのよ。わかった?」
「うん、わかった。じゃあすっごく大切にするね?」
「うん、そうして!」
「ねえねえ、黒髪の頃のお写真とかないの?」
「あ、あるにはあるけど……」
「わあ、ほんと? みたいみたい!」
黒髪のきらなちゃん、みてみたい。
「み、見せれないわ」
「ええーなんでさあ」
「だって恥ずかしいもん!」
「いいじゃんいいじゃん、私も頑張って恥ずかしいことチャレンジしてるもん! きらなちゃんも挑戦しよ?」
「あのね、黒髪を見せるのは問題ないのよ。でもね、その写真自体が恥ずかしいの」
「見せられないものなの?」
「み、見せてもいいんだけど……、私が恥ずかしいっていうか……なんていうか」
なんだろう。その写真に何があるんだろう。こんなに隠されるとみてみたい。みたくなる。
「じゃあ見せて! お願い! 黒髪きらなちゃんみたい!」
「んんん……」
「きらなちゃん、お願い!」
「そんなに目をキラキラさせられたらなあ……。まあたかしちゃんだしいっか。私が蹴人好きなことも知ってるしね。まあいっか」
「やたー! 阿瀬君関係あるの?」
「それがね、大ありなよ」




