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たかしちゃん  作者: 溝端翔
たかしちゃんとお泊まり
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やっぱ夏はキンキンに冷えたお茶よねえ

「やっぱ、外に出てみると、家の中涼しかったんだなあって思うね」

「そうだねえ、私の部屋、すっごい暑かったよ。きらなちゃんのお部屋もすっごい暑くなってるかも」

「それは大丈夫! クーラーつけっぱなしで出てきたから」

「わー、わるい子だあ」

「いいじゃん、ちょっとだけよ。帰ったら涼しい方がいいもん。電気代払うのお父さんだし」

「わー、わるい子だあ」

「ふふん、そのわるい子の中にたかしちゃんも入ってるのよ。だって、帰って涼しい思いするのは私とたかしちゃんだもん」

「わー、共犯者にされた! きらなちゃんひどーい」

「あはは、どうだー、参ったか」

「まいりましたあ。……ふふふ」


 参りました。きらなどのお。


「家近いっていいねえ、なんでも取りに帰れるし」

「そだね、三十分とか離れてたら取りに帰るとか流石に無理だもんね」

「ちょっと待ってて、蹴人の家にボール返してくるから」

「はあい」


 きらなちゃんはさっきみたいにまた勝手に入っていって、倉庫を勝手に開けて、ボールを入れた。やっぱり倉庫みたいなのがあったんだ。


 今度は見たぞ。


 現場を押さえてやった。


「お待たせー」


 私はきらなちゃんの手首を掴んだ。


「住居侵入罪及び勝手に倉庫の中を漁った罪で逮捕だ!」

「えええ、ちょっと借りただけじゃん」

「ふふふ、冗談だよう。阿瀬君と仲良いなあって思ったよ」

「仲はいいんだけどねえ。最近はしゃべったら喧嘩みたいになっちゃうけど」

「でも阿瀬君も楽しそうだからいいと思うよ」

「そっかなあ。ただいまー」

「おじゃましまあす」


 はあ、涼しい。うちに帰った時よりも涼しい。クーラーが効いている。生き返るう。


 きらなちゃんに引っ張られてリビングに入った。きらなちゃんは冷蔵庫からお茶の瓶を取り出して、二つのコップにお茶を注いだ。


「はい、たかしちゃん」

「わあ。ありがとう」


 一つ、お茶の入ったコップを渡してくれた。私はお茶をごくごくと飲んで、一気にコップの中身を飲み干した。きらなちゃんもおんなじようにしてコップの中身を飲み干した。


「ぷはあ。さいっこう。やっぱ夏はキンキンに冷えたお茶よねえ」

「うん、おいしいね」

「ねえ、お母さん、お風呂で遊んでいい?」

「え? お風呂で?」

「外あっつかったからさあ、涼みたいなあって思って、汗もかいたし、二人で水風呂でも入ろうかと思って」

「なるほどねえ」


 きらなちゃんのお母さんは考える仕草をした。


「ね、いいでしょ?」

「まあ、外で水浴びして帰ってこられるよりはマシかー。うん、いいよ。その代わり風邪ひかないようにね」

「はーい」

「行こ、たかしちゃん!」


 きらなちゃんに引かれてリビングから出た。すぐ左隣にあった扉を開ける。そこは洗面所だった。


「たかしちゃんちょっと着替えてて、私水着持ってくるから」

「あ、きらなちゃん、おトイレどこ?」

「あー、この部屋の前のドア開けたらトイレだよ。じゃ、私とってくるから」


 きらなちゃんは階段をドタドタと駆け登っていった。私は一旦おトイレに行ってから着替えることにした。


 おトイレを終えて脱衣所に戻る。おトイレにいる間からドタドタと階段を降りる音が聞こえていた。きらなちゃんはもう服を脱いでいた。私も、少し恥ずかしい気持ちを抑えて服を脱いで水着に着替えた。

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