その河童の見分け方とは……CMの後です!
「たかしちゃんって、テレビ見ないんだっけ?」
「うーん朝とか夜とかご飯食べる時は見てるけど、それ以外はあんまり見ないなあ」
「結構面白い番組あるよ? 私結構お笑い好きなんだー」
「お笑いって、お笑い芸人さんが出てるテレビだよね?」
「うん、バラエティもそうだけど、漫才とかコントとか、結構面白いんだよ?」
「私、お笑い芸人さんすごいなあって思うんだけど、よくテレビでこんな恥ずかしいことできるなって思っちゃって、あんまり面白いって思えないんだよね。面白いとは思うんだけど、恥ずかしいの方が勝っちゃう」
「お笑い芸人見て恥ずかしがるってどんだけ恥ずかしがり屋なのさ。私のおすすめ見る? 笑みシャリって漫才師なんだけど、これがめちゃんこ面白いんだー」
きらなちゃんはテレビのリモコンを操作して、録画された番組をつけた。すごい、ビデオじゃないんだ。きらなちゃんのところは最先端だなあ。
「笑みシャリって聞いたことあるかも」
「でしょ? よく出てるもん。西川って人と、哲二って人のコンビなんだけど、面白いんだよ」
二人で、その笑みシャリというコンビが出ているテレビ番組を見た。髪を結んだ髭のおじさんが、面白いことを言う。この人が西川って人だった。哲二って人は面白いと言うよりも、変わった、変なことを言っていた。やっぱり、恥ずかしいと思った。面白いけれど、恥ずかしい。私にはあんまりお笑い番組は向いていないかもしれない。
「あはは。ね、面白いでしょ?」
「う、うん。でも、恥ずかしいかなあ」
「そうなのかー、こんなに面白いのにねえ。そういやこないだアルちゃんが言ってたUMAを追え!だっけ、それも録ってみたよ。私まだみてないんだけど、みてみる?」
「あー、お笑いよりそっちの方が気になるかも。夜中の二時からなんて絶対見れないもん」
「じゃあみてみよっか」
「UMAを追え!」と言う声と同時にばばあんと音がなってテレビがはじまった。
薄暗い雰囲気でちょっとゾッとする。怖いかもしれないと思った。
映像が切り替わると、女性のアナウンサーさんと、さっき見た笑みシャリの二人が映し出された。
「ああー! 笑みシャリだ! 出てたんだ!」
きらなちゃんは嬉しそうだった。私も、ついさっき見た二人が別の番組に出ているところを、こんな短期間で見たのはちょっと嬉しかった。
『今日のテーマは、先週に引き続き、河童です』
と女性のアナウンサーさんが言った。
「ほう、河童とな」
「きらなちゃん、河童好きなの?」
「いや、別に」
「ふふふ、興味あるのかと思った」
「全然」
「ふふふ」
『カッパっていうのはですねえ、擬態をします』
『擬態?』
アナウンサーさんと笑みシャリのトークが繰り広げられる。
『頭の皿が、水でしっかりと潤っている時に、人間の体になれるんです』
『へえー。それは知らなかったなあ』
それは私も知らなかった。
『ですから、日常生活において、私たちは河童と共存していることになるんです』
『ということは、もしかしたら河原辺アナウンサーが河童だっていう可能性も……?』
『あります』
「だって。きらなちゃん、知ってた?」
「いや、知らなかったわ」
『それじゃあ、河童を河童だと見分ける方法はないんですか?』
『ほぼないんですが、少しだけ存在します』
『それを教えてください! 僕は河童見つけて友達になりたいんです。きゅうりあげたいんです』
「あはは、きゅうりだって」
『さあ、その河童の見分け方とは……CMの後です!』
その言葉を聞いて、笑みシャリの二人が椅子から転げ落ちた。




