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たかしちゃん  作者: 溝端翔
たかしちゃんとお泊まり
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だんだんこの服にも慣れてきたような気がするの

「いつから閉まってたんだろう……」

「わかんない。風邪かあ、金子さん、大丈夫かなあ」

「ねー。でも休みかあ、仕方ないわね、帰りましょ」

「そうだね、お休みじゃあしょうがないもんね」


 私たちはきらなちゃんの家に帰ることにした。


 帰り道も二人の人とすれ違ったけど、じっと私のことを見る人はいなかった。意外と普通なんだって思い始めた。思ったより恥ずかしくないかもしれない。それに、ちょっと、ただしくんに見てほしいって思った。


「ただいまー」

「おじゃましまあす」

「さ、さ、部屋に戻ろっか。それにしても駄菓子パーティーの予定だったのになあ」

「仕方ないよ、風邪だって」

「そうだねえ」


 きらなちゃんの部屋に入ると、すごく服で溢れかえっていた。


「きらなちゃん、これ、片付けないと……」

「ん? ああそっか。いつもはこんな感じだから普段通りだったよ。そっか、これ散らかってるもんね、片付けよっか」


 きらなちゃん、普段こんな感じなんだ。部屋の中が服だらけだ。


「綺麗に畳んでしまおうねー」

「私も手伝うよ」

「ありがとうたかしちゃん」


 私は服を綺麗に畳んで積み上げた。きらなちゃんはその服を仕分けて箪笥の中にしまい込んでいった。二十分くらいかけてお部屋の掃除をした。


「たかしちゃん、その服どうする? 今日一日着とく?」

「どうしよっかなあ、だんだんこの服にも慣れてきたような気がするの」

「じゃあ着とくか! たかしちゃんのワンピースはここに畳んでカバンの中にしまっといてあげる」

「うん、ありがとう」


 私は入れてもらっていた紅茶を飲んだ。氷が溶けてしまっていてすごく薄い味がした。


「なんかお菓子食べる? 持ってこよっか?」

「んー、今何時だろう」

「えっとねえ、十二時十四分だね。あ、今十五分になった」


 もうお昼かあ。


「ってことはもうすぐご飯なんじゃない?」

「確かに、下降りてみる?」

「いいの?」

「いいよいいよ。じゃ、下降りよっか」

「うん!」


 紅茶のコップを持って、下の階に降りた。右手には玄関があって、左手には廊下が伸びている。廊下にはドアが三つあった。そのうちの一つの、すりガラスが貼られたドアの先に行くと、リビングが広がっている。さっきも入ったけど、広くて綺麗だ。手前にダイニングテーブル、奥にローテーブルとソファがある。


「お母さん、ご飯まだ?」

「ちょうど今やろうとしてたところよ。おそうめんでいいかしら?」

「なんでもいいよー。たかしちゃん、こっちおいで。座っていいよ」

「し、失礼します」


 ぼすん。そんな感じの音がするような気がする。座ったら、ソファーにお尻が包まれてふっかふかだった。


「わあ、すっごいふかふか」

「でしょー。でも飛び跳ねたらお母さんに怒られるからね?」

「飛び跳ねないよう。そんなことするのはきらなちゃんだけだよう」

「あー、言ったね! このやろー!」

「わー、あははは、ストップストップ。ごめんなさいいい」


 きらなちゃんが服の中に手を突っ込んでこちょこちょしてきた。


「ふふん、わかれば良いわ。あ、テレビでもみる?」


 きらなちゃんが、大きなテレビの電源をつけた。

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