じゃあ、今年の夏の合宿は今日で終わりだな
「もう大丈夫、うう、泣くつもりなんてなかったのにー」
「本当にごめんね、もう言わないから。ごめん」
「うん、いいよ。本当のことだから。仕方ないの」
「う、ううう、ごめん」
二人は仲直りした。よかったよかった。二人は仲がいいのが一番だよ。
「これ、布団って準備室に戻さないとですよね?」
「多分ね。でも先生いないしとりあえずこのままでいいんじゃない?」
それから、みんなでおしゃべりをしながら先生を待った。先生が来たのは九時前だった。
「ごめんごめん、寝てたわ。布団はもう先生が片付けておくからお前らは着替えて帰りな」
「はーい」
男子はまた外に出て、女子は部室の中で、セーラー服に着替えた。れいかちゃんだけは私の体操服に着替えた。
「オッケーかー?」
「オッケーよ」
ドアが開いて。男子が入ってきた。
「じゃあ、今年の夏の合宿は今日で終わりだな」
「夏の?」
きらなちゃんが不思議そうに聞いた。
「なんだ、知らなかったのか? 冬にも合宿するぞ? 冬はまた見える星が変わってくるからな。夏と同じで一泊二日だ」
「知らなかった! ってことはまたお泊まりできるんだって! たかしちゃん!」
「うん! 楽しみだね」
「あ、先生、冬の合宿も麗夏連れてきていい?」
「いや、普通はダメなんだけどな。どうせダメだって言っても勝手にくるんだろ? 考えとくよ」
「やったー! ありがとう先生! よかったね麗夏!」
「うん。お願いします先生」
「あー、わかったわかった。なんとかできるように考えとくから」
よかった、冬もれいかちゃんこれるんだ。先生頑張って。
「じゃ、夏の合宿はこれでおしまいだ。お前ら気をつけて帰れよ」
「はーい」
みんなが声を揃えて返事をした。
階段を降りると人の気配がした。学校内は生徒で溢れかえっていた。
「もう他の部活始まってるんだね」
「うん」
「あ、たかしちゃん今なんか考えてるでしょ」
「えっ、な、何にも考えてないよう」
「嘘だー、ただしーのこと考えてたでしょ。私もわかってきた」
「えっ、えっ、ただしーって誰っすか?」
「たかしちゃんの彼氏よ。そうだ、見てく?」
ううう、なんでバレたんだろう。バスケ部もうやってるのかなあって考えただけなのに。
「みたいっす!」
「私も見てみたいです」
「じゃあ僕も」
「よーし、見せてあげよう」
「ちょ、ちょっと待ってよきらなちゃん、恥ずかしいよう」
「もう遅いのよ、これは仕方のないことなの」
「そ、そんなあ」
きらなちゃんはすっごい笑顔だった。だめだ、この笑顔はもう止まらない笑顔だ。
「さ、みんなで体育館に行くわよー」
みんなでぞろぞろと体育館の方に向かって歩いた。恥ずかしい、逃げ出したい。でも、逃げられない。もうみんなに紹介するしかないんだ。
が、がんばれ、自分。
あっという間に体育館に着いてしまった。




