そんなのおっきい方がいいに決まってんじゃん
「胸に!」
「日々人! そこ、反応しない!」
「ええー! じゃあ私も夜食食べようかなあ!」
れいかちゃんが大きな声を出した。
「あんた水泳では得だから貧乳の方がいいんじゃなかったの?」
「そんなのおっきい方がいいに決まってんじゃん。どうせ水着で胸は潰せるんだし。小ちゃくても徳なんてないのよ。私もおっきい方がいい!」
「でも恋愛も興味ないんでしょ? なんでおっきい方がいいの?」
「だって、おっきい方が女の子っぽいでしょ?」
「それだけ?」
「それだけよ! いいでしょ! 将来胸のある可愛い服とか着たいもん。今のままじゃ全然着れないもん」
「なるほどねえ、でも夜食したからって胸が大きくなる保証はないわ。だって私のお母さんも胸大きいし。ほぼ遺伝よ」
「そ、そんなあ。でも、私のお母さんも胸結構おっきいんだよ? なのに私ちっちゃいの、おかしくない?」
「じゃあ突然おっきくなったりするんじゃない? ぼんっ! って。わかんないけど」
「そ、そんなことあるわけないじゃん! アルちゃんのお母さんは大きい?」
「私のママですか? ママの胸は大きいですね」
「やっぱ遺伝かあ。もうほんとに急に大きくなるのを待つしかないかあ」
「たかしちゃんのお母さんはたかしちゃんくらいだもんね」
「えっ、私?」
ほとんど眠りながら話を聞いていた。胸の話は男の子がいるから少し恥ずかしい。
「う、うん、おんなじくらい、かなあ?」
「てことはたかしちゃんは大きくなってもこれくらいってことね」
「そうなのかなあ……」
「うん? たかしちゃん、聞いてる?」
「うん、聞いてるよう……」
「だめ! 寝ちゃダメよたかしちゃん!」
隣で眠りに落ちそうな私をきらなちゃんが揺すった。
「わーあーわーあー」
「起きて! たかしちゃん起きて!」
「うん、起きるよう……」
「ていうか、なんで起きないといけないんっすか? もう就寝時間っすよ?」
「いや、なんか勿体無いじゃない。起きないと。こんな時間滅多にないんだから」
「起きてるよう……」
「たかしちゃん! たかしちゃん……かし……ゃん」




