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たかしちゃん  作者: 溝端翔
たかしちゃんと部活動
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後ろからきらなちゃんに胸を揉まれた

 夏の大三角形はわかるんだけどなあ。


 どれがデネブで、どれがベガで、どれがアルタイルだっけ。忘れちゃった。でも、夏の大三角形はそこにあった。


 デネブが入っているはくちょう座を探そう、それならわかるかもしれない。


 ってことになったけれど、どれだけ探してもはくちょう座を見つけることはできなかった。そうしているうちに、先生が屋上に入ってきた。


「あれ? そういえば干柿さんたちは?」

「そういえば来てないわね。見なくていいのかしら」

「あの二人は後で二人きりで見たいそうだ。また先生が怒られるから、そういうわがままはせめて合宿が始まる前に言ってほしいな」

「はーい」


 元気のない返事をきらなちゃんとれいかちゃんがした。


「よく観察したか?」

「はーい」


 今度は元気な声で、みんなが返事をした。


「じゃ、そろそろ部室に戻ろうか。もう十時だぞ、今日は十一時消灯だ」

「はやーい!」

「そう言う決まりだ。諦めろ」

「ちぇー」

「じゃ、部室に戻るぞー。戻ったら男子は廊下で、女子は部室で寝巻きに着替えてくれ。流石に制服じゃ眠れないからな」

「ええー! 男子外―! エコ贔屓だ!」

「仕方ないだろ。うちには更衣室はないんだ。それに男子は三人しかいないんだから」

「絶対覗いてやる」

「生下、そう言うのはこっそりやれ」

「ひ、ひびとくん。覗くの?」


 覗かれると思ったら、お着替えできない。覗くのはやめてほしい。


「これはたかしちゃんに嫌われたわね」

「ええ! いや! たかしちゃん先輩! 覗かないっす、絶対覗かないっす。なんなら覗こうとしたやつを止めるっす!」

「そっか、よかった。ひびとくんのおかげで安心してお着替えできるや」

「そ、それはよかったっす」

「危なかったわね、あんた」

「たかしちゃん先輩には嫌われたくないっす」

「大丈夫、嫌わないよ」

「よかったっすー」

「じゃ、行くぞー」


 私たちはゾロゾロと先生を先頭にして屋上を出て階段をゆっくり降りた。


「いやー、綺麗だったわねえ」

「うん、すごい綺麗だった」

「忍び込んでよかったわ」

「よくないぞ。先生のことをもっと考えてくれ」

「はーい」


 ふふ、二人の返事は元気がなかった。この返事、先生には申し訳ないけどなんだか面白い。


「よーし、じゃ、男子は外に出ろー、着替えるぞー。星見、お前も外なー」

「はい、先生」


 わ、星見先輩が動いた。星見先輩は星見って名前だから星が好きになったんだろうか。今度聞いてみたいけど、星見先輩に声をかけるのなんだか緊張するんだよなあ。まだ一度も声かけたことないけど、なんだか緊張する。干柿さんも同じくらい緊張する。なんだか二人に割って入ることができないって感じがする。


「よし、さ、着替えますか!」


 きらなちゃんが怪しい顔をしている。なんだか体がぞわっとした。

 カバンからパジャマを出して、セーラー服を脱いだ。すると、後ろからきらなちゃんに胸を揉まれた。

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