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たかしちゃん  作者: 溝端翔
たかしちゃんと部活動
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デネブ、どこだろう

「もう、きらなちゃん、置いてかないでよ」

「あははー、たかしちゃんまたビリー」

「たかちゃんは遅いんだからあ」

「みんなが早いんだよう。空。綺麗だね」


 私は空を見上げた。


「こっちこっち、こっち座ろ」


 私たちは屋上の端の、ちょうどベンチみたいに座りやすくなっている縁に、三人で並んで座った。私は二人の真ん中に座った。


「ねえ、おてて繋いでいい?」

「いいよ?」

「うん、いいよ」

「やった」


 私は二人と手を繋いで空を見上げた。この星の一つ一つが遠くにあるんだと思うとなんだかとても心が寂しくなった。だけど、私には今、ここに二人の友達がいる。三人の後輩がいる。とても幸せな、寂しい、不思議な気持ちになった。


「真っ暗だねえ」

「お陰で星が綺麗に見えるね。月も綺麗だし、月明かりだけで周りはだいぶ見えるね」

「どれがデネブかなあ」


 れいかちゃんが空に向かって右手を伸ばしながら言った。


「星座盤置いてきちゃったわね。確か……どっちが北かしら」

「さあ、私にはわかんないよ」

「私もわかんない」

「じゃあダメじゃん。方位磁石も持ってこないと。私星座盤と方位磁石持ってくる」

「あ、きらなちゃん!」


 きらなちゃんは言い出したら止まらない。有言即実行だ。きらなちゃんは屋上から出て行った。星座盤と方位磁石を取りに行ってしまった。


「一緒に行ったらいいのに。ねえれいかちゃん」

「きらちゃんは思い付いたら行動してるからねえ。すごいよねえ」


 れいかちゃんは星空を見上げたまま話した。私も星空をみながら返事をした。


「うん、私にはできないや。でも最近ちょっと出来るようになってきた気がする。きらなちゃん見てるとなんだか出来るような気がするんだよね」

「あはは、わかるー。私も前よりも即実行! って出来るようになった気がする」

「きらなちゃんは凄いね。私たちを変えちゃった」

「本当だよ。責任取ってもらわないとねこれは」

「ふふふ、何してもらおっか」

「とりあえず、デネブがどれか教えてもらお。あとアルタイルと……なんだっけ?」

「ベガ? だっけ? 夏の大三角形って言うんだよね。私はこぐま座が見てみたいなあ。どこだろう」


 星がいっぱいあって、全然わからない。全然わからないけれど、すごく綺麗だ。


「星座は見つけるの難しそうだねえ。オリオン座はわかるんだけどね」

「私もー、オリオン座はわかる」

「あれはわかりやすいよね」


 ガチャ。ときらなちゃんが屋上に入ってきた。


「ほれー! 持ってきたよ!」

「きらなちゃんおかえりー」

「あのねー、デネブはねえ、東の方ね」

「東かあ。どっちだろ」

「あ、そうかそうか。方位磁石も持ってきたよ。えーっとねえ、あっちだね」


 きらなちゃんが指差した方を、私たち二人はみた。デネブ、どこだろう。


「あっ! あれかな!」


 れいかちゃんが夜空に向かって指を刺した。

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