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たかしちゃん  作者: 溝端翔
たかしちゃんと部活動
164/211

設定じゃありません、事実です

「多分、いると思います! どんな形かは見たことないですけど」

「じゃあ月人は?」

「月人はいないと思います」

「なんで?」

「だってこんなに近いのにまだ発見されたことないなんておかしいです。いたら発見されたりもう地球に来たりしてると思います。それに、月に建物がないのもおかしいです」

「そんなこと言ったら火星にも建物はないわよ?」


 あ、ちょっと、きらなちゃん。


「あっ」

「火星人は建物に住まないんです。洞窟暮らしなんです。だから建物はないんですよ」

「なるほど……」

「そもそも火星人てのは技術力が低いので、建物も乗り物も、UFO作ったりとかも出来ないので地球に来ることもありません」

「言語は?」

「火星語です」

「なるほどねえ。じゃあ水は? 火星は水ないけどどうしてるの?」


 そうなんだ、火星には水がないんだ。きらなちゃんよく知ってるなあ。


「火星人はそもそもそんなに水分が必要ないんですけど、でも水は地下に空洞があってそこにあります。地下水ですね」

「地下水ときたか。なるほど、やるわね。ちゃんと設定持ってるのね」

「設定じゃありません、事実です」

「おいーっす。お弁当きたぞー、お前ら好きなのとれー。って言っても全部幕の内だけどな」


 教室に入ってきた細谷先生が机の上にどさっとナイロンの白い袋を置いた。中にはたくさんのお弁当が入っていた。


「アルちゃん、配ってくれる?」


 お弁当に一番近かったアルちゃんがお弁当配りがかりに任命された。


「はーい! えっと、麗夏先輩の分はどうしましょ」

「なしでいいわ、飛び入り参加だからね」

「んん? 麗夏って誰だ?」


 わ、バレた。ついにれいかちゃんが先生にバレた。ムキムキで筋肉のすごい細谷先生は麗夏ちゃんを見た。とても怖い感じがする。


「麗夏よ? 忘れたの?」


 きらなちゃんは怖じけずにとぼけて見せた。


「……いや、知らんわ。忘れたことにしようとするな……。お前だな、名前は?」

「御城麗夏です」

「御城ねえ……。水泳部のか。って今は引っ越したんだっけ?」

「なに? 先生麗夏のこと知ってるの?」

「いや、水泳部に早い生徒がいるって聞いたことあっただけだよ。で、その御城がなんでこんなところにいるんだ?」

「飛び入り参加です」


 れいかちゃんは礼儀正しく言った。


「なるほどなー。飛び入り参加か。いや、常識的に考えてダメだろ? 怒られると思わなかったのか?」

「思いましたが、押し通せると思いました」


 れいかちゃん、正直だなあ。


「押し通せる……。確かに今の時間から帰らせるのはできないしなあ。どうせ家も遠いんだろ?」

「はい、自転車で一時間くらいです」

「はあ、あのなあ、そんな無茶なことしたら先生が怒られるだろ? もうどうしようもないからこのまま参加してもらうけどな。普通考えてだめだろ? 先生が後で怒られるだろ?」

「先生は怒られてください。私たちのために」


 きらなちゃんがはっきりと言った。なんだかかっこいい。


「んん、まあ仕方ない。そもそも先生がさっきまで寝てて気づかなかったのが悪かったんだもんな、そうだよなあ、絶対後で先生怒られるよなあ。しくじったなあ。とりあえず、御城の家の電話番号教えてくれ。電話してくるから」

「はい」


 れいかちゃんは細谷先生に電話番号をメモに書いて教えた。


「じゃ、先生は電話してくるから、お前たちは食べといてくれ。あ、御城、先生の弁当食べていいぞ。腹減るだろ」

「先生は?」

「先生は後で自分でなんとかするよ。職員室にカップ麺とかあるし」

「ありがとー先生!」


 先生はメモを片手に部室を出て行った。

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