たまに満点取るくらいっす
「じゃ、消しまーす!」
ぱちっ。という音とともに、天井に星空が現れた。綺麗な星空だ。夏の大三角形はどこだろう。
「麗夏、ちょっと上向いて、うんうん、よし。目、開けていいよ」
ぱっちりとれいかちゃんの目が開く。
「うわー! すご! 何これ! 星空じゃん!」
「凄いでしょ! これが昼でも見られる星空よ。もう夜だけど」
「凄い凄い! 天文部ってこんなのあったんだ。知らなかったー!」
「昔の人が作ったらしいの。何年前かは知らないけど。凄いわよねえ」
「ねえきらなちゃん、ここにも星座とかあるのかな?」
「いや、ないでしょ。だって絶対適当だし。どれが一番星かもわかんないし」
「そっかあ、残念だなあ」
ここにも星座があったら楽しかったのにな。
「じゃあ、自分たちで星座作るってのはどうっすか?」
「お、日々人にしてはナイスアイデアね。じゃあねえ、あの星から、あの星まで繋いでって、横に二本伸びてーはと座!」
「ど、どれどれ?」
「だからー、この星からー!」
「ふふふ、きらなちゃん、この星がわかんないよう」
「だああ! 全然ダメじゃん。無理無理! 星座を作るなんて無理よ!」
「あははは」
着信音のような音楽が突然鳴った。
「ふにゃっ」
「わっ、びっくりしたー」
私もすごくびっくりした。心臓が止まるかと思った。
「なんだ。電気消えてるじゃないか。また吉良か。好きだなあ。じゃあ先生は弁当取りに行ってくるから。教室で待っててくれ」
着信音のような音楽は先生のアラームの音だった。先生は起きて、お弁当を取りに行った。
「先生、まだ麗夏のこと気付いてないね」
「うん、やっぱり怒られるかなあ」
「そりゃそうでしょ、参加の紙も出してないし。ていうかそもそも他所の学校だし。ねえ」
「大丈夫、私怒られる覚悟出来てるから」
「れいかちゃん不良だー」
「あははー、まあこんな髪型の子と友達だからねえ。不良にもなっちゃうわ」
れいかちゃんはきらなちゃんの髪を撫でながら言った。
「おい! 私は不良じゃないわよ! ちゃんとテストの点数だっていいんだから!」
「きらなちゃん頭いいもんねえ」
「まあね! 漢字は苦手だけど……。あんたたちはどうなの?」
「私は普通かなあ。良くも悪くもないってかんじ。勉強より水泳のこと考えちゃうし」
「水泳ばかね。日々人は?」
「あ、俺はたまに満点取るくらいっす」
「はあ? 満点?」
凄い、満点なんてとったことない。
「いやあ、天文部って活動ほぼないんで家で勉強してるだけなんっすけどね。なんか頭いいみたいっす」
「頭いいみたいっすじゃないわよ。あんたかしこだったのね。意外すぎるわ」
「あ、でもテスト終わったらほとんど忘れてるっす」
「よし、それでいいのよ」
「そらは?」
「僕は普通くらいっす」
「あるちゃんは?」
「私は勉強苦手ですー。本当に教えて欲しいくらいです。この前のテスト数学二十三点でした……」
「なるほどねえ。いいわ、今度教えてあげる。後輩が困ってるんだもん、助けなきゃね。ね、たかしちゃん」
「え、ええ?」
私?
「何言ってんのー、たかしちゃんも教えてあげるのよ。できるでしょ? す! う! が! く!」
「で、できるけど、教えたことないから出来るかわかんないよ?」
「大丈夫、たかしちゃんなら出来るわ」