表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
たかしちゃん  作者: 溝端翔
たかしちゃんと部活動
161/276

夏のってことは秋とか冬とかもあるのかな

「ひびとくん、ありがと」

「なんか……たかしちゃん先輩話しやすくなりました? 前はもっと、こう、人見知りみたいな……」

「先輩になんてこというの!」

「すんません!」

「でも、確かに前より話せるようにはなってるかも」

「そうかなあ?」


 自分ではわかんないけど、でも、そう言われると話しやすくなってるかもしれない。


「忠のおかげかもね」

「そうかも」


 多分、ただしくんとお話しするのが一番緊張するから、だから、他の人とは話しやすくなってるんだ。


「忠って誰ですか?」

「たかしちゃんの彼氏」


 き、きらなちゃん。


「え! たかしちゃん先輩彼氏いるんすか!」

「いるわよ。ねえたかしちゃん」

「うう、きらなちゃん。流石にその話は恥ずかしいよう」


 きらなちゃんが無垢な顔で私のことを見ている。わざとじゃないんだ。わざとじゃないんだよね。きらなちゃん。


「いいなあ。くそー、俺も彼女欲しいなあー」

「あんた、好きな人とかいんの?」

「いや、いるっすよ」

「じゃあ、告白すればいいじゃないの」

「いや、それは恥ずかしいっす。それに女子はみんな可愛いんで」

「どゆこと? 誰でもいいってわけ? よかったわ、たかしちゃんがこんな男に引っかからなくて」

「こんな男ってなんですか! ていうか、たかしちゃん先輩髪切ったんすね」

「うん」

「そうよ、可愛いでしょ。あげないわよ」

「短い髪も可愛いっす」

「あんた、喋る女子みんなにそんなこと言ってないわよね?」

「え? 言ってるっすよ。今日も可愛いとか、髪型似あってるとか」

「絶対引かれてるわよ。今私が引いてるからね」

「でも、可愛いって言われたら嬉しいよね」


 れいかちゃんが言った。


「麗夏先輩も可愛いっす」

「ありがと。ひびくんもかっこいいと思うよ」

「マジっすか、ありがとうございます。良かったら付き合ってください!」

「あはは、ごめんね、私、恋愛はよくわからないから」

「くそう、フラれたっす」

「私、日々人がちょっと心配だわ……」


 きらなちゃんが呆れ顔で首を横に振った。


「ねえ、きらなちゃん。今日見える星とか調べられないの?」


 星が見たい。せっかく見るんだからどんな星があるのか知りたい。


「えーっと、待ってね、この辺に星座盤があったはずっと……。あーあったあった。これね、これをくるくる回して今の時期に合わせるのね。ちょっと待ってねえ。よし、これが今見える星座だね」


 きらなちゃんは星座盤を合わせて机の上に置いてくれた。


「わあ、いっぱいあるんだねえ」

「見て、かんむり座だって」

「こぐまさんとおおぐまさんもいる!」

「トカゲもあるっすよ」

「トカゲさんはちょっと怖いなあ」

「ヘビもあるっす」

「ヘビはいやー!」

「日々人? たかしちゃんいじめてる?」

「いや、そんなことないです。つい」

「ついじゃないわよ。まったく、あ、はくちょう座がある。この頭のところがデネブだね」

「デネブ?」

「んー、よくわかんないけど、デネブっていう星があるの、で、ここのベガと、こっちのアルタイルで、夏の大三角形っていうのよ」

「わー、きらなちゃん物知りだねえ。夏の大三角形かあ。見えるかなあ」

「見えるわよ。多分、一番光ってる星の三つがそれよ」

「なるほどお」


 夏の大三角形かあ。夏のってことは秋とか冬とかもあるのかな。


「そうだ。電気消していい?」

「好きっすね、綺羅名先輩」

「だって、麗夏見たことないし。先輩、電気消していいですか?」

「わ、星見先輩いたんだ。干柿さんもいる。全然気づかなかった」


 星見先輩が手でグッドを作った。干柿さんは先輩にべったりと寄り添っている。


「ひっそりしてるからねえ。電気消していいって。カーテンは……しまってるわね。ちょっと麗夏、電気消すから目瞑ってて」

「え? 目瞑るの? わかった」

「いいっていうまで開けちゃダメよ?」

「はーい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ