勝手に参加しちゃいました
「こら! しー! 先生が起きちゃうでしょ」
「え、てことは忍び込んだってことっすか?」
「忍び込みました」
れいかちゃんはテヘッと舌を出した。
「勝手に参加ってことっすか?」
「勝手に参加しちゃいました」
また、れいかちゃんはテヘッと舌を出した。
「すげー! そんなことできるんっすね!」
「いや、知らないけど、できたわ。だって先生寝てるし。本来なら入ってきた時に見つかって怒られる予定だったけど、その予定が崩れたわ」
「合宿に不法侵入とかカッコ良すぎっすよ麗夏先輩」
「あははー、私元々ここの学校通ってたの。一年の頃ね。でも一年の途中にに引っ越しちゃって、久しぶりーと思って」
「久しぶりーで来れるんすか。カッケーっすね。じゃあ普段は学校じゃ会えないんだ。今のうちに仲良くしないと」
「そうだね。別の学校だからね。よろしくね、えっと……」
「日々人っす」
「よろしくね、ひびくん。後の二人は?」
「僕は宙です。宇野宙」
「私は須田アールです」
「そらくんかあ。どーしよっかなあ……」
「ど、どうしたんですか?」
れいかちゃんが難し顔をして何かを考え込んでいる。
「いやあ、あだ名なんだけど、そらくん二文字だから難しいなあって。三文字だったら一文字外すだけとかできるんだけど、二文字から一文字外したら一文字になっちゃうでしょ? だから、どうしよっかなあって。あ、ハーフの君はアルちゃんで決定ね。うーん、そらくんがなあ」
「なんか好きなものとかから取ったら?」
きらなちゃんが提案した。
「好きなものかー、そらくんの好きなものってなに?」
「んー。なんだろ。宇宙とかゲームとかですかね」
「宇宙とゲームかー。ゲームはあだ名には不向きね……。宇宙もねえ、私が詳しくないからなあ。うーん、そら、スカイかあ。じゃあ、スカッチとかどう?」
「スカッチ。いいです。なんかかっこいいです」
「じゃあ今日から君はスカッチだ!」
「えー私もスカッチって呼ぼー」
「じゃあ俺も!」
あーるちゃんが言った。続けてひびとくんも同じことを言った。
「たかしちゃん先輩は最近何してたんすか? 全然見かけなかったけど」
「あ、うん。あのね、私、学校お休みしてるの」
「たかしちゃんはね、長期休暇中なのよ」
「そうなんすか……。寂しいっす、たかしちゃん先輩がいないと俺たち寂しいっす」
「ふふふ、ありがとう。また来るから、待っててね」
「はいっす」
「ちょっと待って。私も部活来てないわよね? 寂しくないっていうの?」
「さ、寂しいっすよ。なあ?」
「はい、寂しいです」
「うん! さみしい!」
声を揃えて二人が言った。
「んまあ、いいわ。そういうことにしといてあげる」
「ほっ」
「日々人?」
「いや、なんもないっす」
「そういや今日はなんの星を見るの? オリオン座?」
「いやー、わかんないっす。今の時期の星座とか詳しくないんで」
「僕もわかんないです」
「私もー!」
誰もわからなかった。ふふ、天文部なのに誰も全然知らないの、面白い。
「は、たかしちゃん先輩が笑った!」
「だって、面白かったから。天文部なのに誰も知らないんだなあって」
「たかしちゃん先輩の笑顔、最高っす」




