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たかしちゃん  作者: 溝端翔
たかしちゃんと部活動
146/211

一緒にお買い物……!

「あう、み、見てないよう」


 ちょっとみてたけど。嘘ついちゃった。


「うっそだあ、ちっちゃいとか思ったでしょ!」


 そ、それは……。


「でもいいんだもん、この方が水泳の時水の抵抗がないから早く泳げるんだもん」

「そうなんだ。小さい方が有利なの?」

「有利だと思うよー。水の抵抗が少ないからね」

「そっか。なるほど」


 スポーツってそういうこともあるんだ。


「きらちゃんみたいにでっかいと大変だろうなあって思う」

「そうかなあ、水着である程度締め付けられるから意外と楽よ?」


 きらなちゃんが床に置いた鏡を見てお化粧をしながら返事をした。


「そんなこと言ったらちっちゃい私が損じゃんか。小さい方が得なの! わかった?」


 れいかちゃんがきらなちゃんの頭を掴んだ。


「わかったわよ。貧乳の方がお得です」

「こらー! 貧乳とかいうなー!」


 れいかちゃんがきらなちゃんの頭をブンブンと揺さぶった。


「わああわあかったから。今揺らさないで、眉毛書いてるとこだから」

「あはは、ごめんごめん。ねーねー、あのさー。提案なんだけど、今度みんなでプール行かない?」

「おっいいねえ。じゃあさ、水着も一緒に買いに行くってのはどう? スクール水着じゃつまんないじゃん」


 れいかちゃんときらなちゃんと一緒にお買い物……!


「いこいこ! 水着はちょっと恥ずかしいけど、みんなでお買い物行きたい!」

「じゃあさ、八月十一日がちょうどサッカー部もバスケ部も休みだからさ、みんなプールに誘っちゃおうよ。ここも蹴人も忠も一も!」


 ただしくんも?

 それはちょっとはずかしいな。


「お! いいねえ、じゃあみんなで市民プール行く? それとも電車乗ってでっかいプール行く?」

「うーん、みんなに聞いてみよう。でもでっかいプールいいよね。ウォータースライダーとか流れるプールとか」

「じゃあほぼほぼでっかいプールだなあ。あそこなんて言うんだっけ」

「アピなんとか!」

「あはは、それだ。アピなんとか。アピなんだっけ?」

「忘れちゃった。まいいじゃん。じゃあ買いに行く日も決めないとだなー。前日にさ、買いに行ってさ。たかしちゃん家かわたしん家にお泊まりするってのはどう? あーでも荷物増えちゃうかー」

「パジャマなしにしたら荷物減るよ! いいね、私の家でもいいよ?」

「れいかちゃん家!」


 行ってみたい。どんなお家なんだろう。絶対綺麗なんだろうな。


「お、たかしちゃんが食いついた。麗夏ん家でもいいね。ま、それはまたおいおい決めるかー」

「うん! すっごい楽しみ」

「ねー!」

「たかしちゃん? わかってると思うけど『プール』に行くんだからね。それもみんなで。恥ずかしいとか言って水着にならないのは無しよ? 忠にも蹴人にも一にも、水着姿見られるんだからね?」


 そっか、プールってことはそういうことだ。水着って下着みたいなアレだよね。緊張してきた。恥ずかしくなってきた。どうしよう。


「あはは、たかちゃん緊張してるー。かわいいなあ。彼氏に水着披露する。くらいのつもりでいればいいのに」

「た、ただしくんに見られるのが一番恥ずかしい……」


 考えるだけでもう恥ずかしい。水着なんて裸みたいだし……。


「そ、それは後で蹴人と一に謝った方がいい発言ね」

「あう。そ、そういうつもりじゃないもん」

「まあでも、何とかなるでしょ。たかしちゃんの水着は私たちがしっかり選んであげるからね。その代わり、たかしちゃんもちゃんと私たちの水着選んでよ?」

「うん、頑張る」

「とまあ、そんなこんなでメイクも終わったわ」


 メイクしたきらなちゃんは、うんと可愛くなっていた。ううん、メイクする前からうんとかわいい。でも、そうじゃなくって、綺麗な顔が更に綺麗に可愛くなっていた。


「きらちゃんメイク上手だねえ。私全然メイクとかしたことないなあ。たかちゃんは?」

「わ、私もほとんどしないなあ。たまにリップとかつけるくらい。でも可愛くはならないかなあ」

「私が教えてあげよっか? と言っても私もお母さんに教えてもらっただけなんだけどね」

「きらなちゃんのお母さん、お化粧上手なんだ!」

「うん! すっごいうまいよ。お母さんのメイク前とメイク後を見てほしい。本当に!」

「そ、そんなに違うんだ」

「私も高校生とかになったらメイクとかするのかなあ」


 れいかちゃんの目はとても遠い目をしていた。

 私も上手くなって、可愛くなりたいなあ。ただしくんに褒められるくらいに。


「あー、今たかしちゃん忠のこと考えてたでしょ」

「え、か、考えてないよう」


 突然の図星に咄嗟に嘘をついてしまう。


「うっそだあ、またデレデレした顔になってたもん。どうせ、メイクが上手くなって忠に可愛いって言ってもらいたいなあ。とか考えてたんでしょ」

「うっ、ううう」

「たかちゃんは初々しいねえ。私は彼氏とか考えたことないなあ。恋愛って全然わかんない」

「わ、私もわかんなかったんだよ? 恋愛って全然わかんなかった。けど、気がついたら、好きになってた……」

「何それー! かわいいー!」


 れいかちゃんに頭を撫でられた。


 むう、可愛くないもん。


「じゃあそろそろ学校行く?」

「うん、行こっか」

「ダイワ中学校。久々だなあ。ワクワク」


 私ときらなちゃんはセーラー服で、れいかちゃんだけ体操服に下はジャージで、みんなリュックを背負って部屋を出て、ギシギシと降りて玄関に向かった。

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