たかしちゃんって不思議ー
「彼氏欲しいの? 私は欲しいって思ったことないなあ」
「何で欲しいって言ってる私に居なくて、欲しいって思ったことのないたかしちゃんに彼氏がいるのよ」
「さ、さあ?」
「不思議な話ー。たかしちゃんって不思議ー」
「確かに私って不思議ー」
確かに、とっても不思議な話だ。
「あはは、でも楽しいー」
「うん、楽しいね!」
「……なんか熱くなってきたわね」
「うん、あがろっか」
お風呂を上って、体を拭いて、パジャマを着た。きらなちゃんのパジャマは半袖短パンでふわふわもこもこしていてとてもかわいかった。
「これねー、お気に入りのブランドなんだー。暑そうだけど意外と涼しいんだよ。たかしちゃんも今度買ってみる? お店連れてってあげるよ」
「うん、お揃い欲しい」
「お、いいねーそれ。お揃いしよっか。夏休み中に行って、夏休み何回かお泊まりしよ! うちにもおいでよ!」
「うん! そういえばまだきらなちゃんの家行ったことないや」
きらなちゃんが私の髪をドライヤーで乾かてくれている。
「そだねー、私ばっかり来てるね。どうする? いつくる?」
「うーん、そうだなあ、いつ行こう……」
「じゃあさじゃあさ、水曜とかどう? 明日の月曜が学校にお泊まりでしょ? で、帰ってきて火曜日で、次の日! どう? どう?」
「うん! 行く! 朝から行っていいの?」
「いいよいいよ、九時に鍵開けて待ってるから勝手に入ってきて」
「あはは、勝手には入らないよう。ちゃんとピンポン鳴らして入るよ」
「私蹴人ん家なら勝手にはいるよ」
「それは仲がいいから……、あれ、私きらなちゃんと仲いいよね?」
あれ?
なんでだ?
「そりゃ! もちろん!」
なんでだろ。仲良いのに。
「何で勝手に入らないんだろう……あれれ? 仲良いのに」
「うちのお母さんとは仲良くないからじゃない?」
「あっ! そっか! きらなちゃんは阿瀬くんのお母さんとも仲良いんだ」
「うん、仲良いよ! お父さんとも仲良い! 蹴人より仲良いかも!」
「あはは、そっか。びっくりしたー。なんか変なこと考えちゃった。じゃ、次私が乾かしてあげるね」
「お願いしまーす」
ぶおーんときらなちゃんの髪を乾かして、私の部屋に戻った。時間は八時二十分だった。
「もうこんな時間だねえ」
「そういえば、たかしちゃんがリボンつけてないの変な感じー」
「そ、そう? きらなちゃんだってツインテールじゃないの変な感じだよ?」
「あらそう? リボンなしたかしちゃんは忠に見せた?」
「ううん、見せてないよ。遊ぶ時はいつもリボン付けてるから」
「リボンなしもリボンなしで可愛いから見せたら喜ぶわよきっと」
「そ、そうかなあ」
「絶対そうよ。私が言うんだから間違いないわ」
「じゃ、じゃあ今度、見せてみる」
「うん、そうしなさい。ていうか、今更なんだけど、たかしちゃんってゲーム何にも持ってないんだね」
きらなちゃんは私の部屋をぐるぐると見渡して言った。
「ゲームは天の部屋にあるよ。私はゲーム全然やらないからなあ」
「そっかあ、じゃあ何して遊ぶー。夜はこれからだよー? 恋バナはもうしてるからねえ。私、たかしちゃんとこんなに恋バナする仲になるとは思ってなかったよ」
それは私もそうだ。恋の話なんてよくわからないし、こんな恥ずかしい話を私ができるようになるとは思っても見なかった。
「私も。恋バナってちょっと憧れてたけど。恥ずかしいしって思ってた」
「彼氏、いるんだもんねえ」
「きらなちゃんそればっかりー。んもう、恥ずかしいんだからね!」
だけど、平気だ。きらなちゃんだからかもしれない。不思議だ。




