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たかしちゃん  作者: 溝端翔
第二部 たかしちゃんと竹達くん
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なんだか一緒に暮らしてるみたい

「あら、何? どうしたの?」


 あ、お母さんに見つかっちゃった。


 ってそりゃそうか。お母さんが作ってるんだもん。隠れられるわけなかった。


「えっと、今日のご飯何かなあって」

「ん? 今日のご飯は肉じゃがよ?」


 お母さんは具材を炒めながら簡単に答えを言った。その答えは私たちが予想していたものとは違った。


「んあっ! コロッケじゃなかった。惜しい!」

「惜しくないよう。全然コロッケじゃないじゃん」

「何? コロッケがよかったの?」


 お母さんが不思議そうに見ている。


「ううん、きらなちゃんがね、匂いでコロッケじゃないかって予想してて」

「あらそうなの。今日は肉じゃがよ。あ、ちょうどいいわ、二人とも手伝ってくれる?」


 私たちはお母さんに言われるまま、晩御飯作りを手伝った。これが意外と大変で、お母さんは毎日こんなことをしてるんだと思うとすごいと思った。たまにはお手伝いしよう。でもお手伝いするなら勉強しなさいって言われるんだよなあ。

 今日は勉強しなさいとは言われずに、きらなちゃんと二人で分担して作業をした。もうお母さんは指示をするだけでほとんど見ていた。


「これ、炒めるのよ。まずはしっかり炒めてね。その方が美味しくなるから。あ、ご飯炊いてない。きらなちゃん、ご飯炊いてくれる?」

「え、えっと。どこにお米が……」

「はいこれ、お米ね。しっかり研いで水を入れてから炊飯器に入れるのよ?」

「は、はい。頑張ります」


 私がお肉や野菜を炒めている横で、きらなちゃんはえっさえっさとお米を研いでいる。なんだか可笑しくなってきて笑いが込み上げてきた。


「ふふふ、なんかおかしい」

「えっ、何が? お米洗ってるだけだよ」

「きらなちゃんがうちでお米研いでるのがなんか変。ふふふ」

「今度わたしん家でもたかしちゃんにお米研いでもらうんだから」

「あはは、何それへーん」

「たかしちゃん、焦げないようにね」

「は、はーい」


 私たちは協力して肉じゃがを作った。


「きらなちゃん、わたし混ぜてるからお醤油入れて」

「はいはーい」


 なんだか一緒に暮らしてるみたいでとても楽しかった。


「はい、じゃあ後は煮込んで味を染み込ませるだけだからね。二人ともありがとう」

「はーい」


 肉じゃが作りは、多分、無事で終わった。美味しいといいなあ。お母さんに指導してもらったからきっと美味しいはず。


「ご飯までもうすぐだろうから、居間でテレビでもみてる?」

「そうだね、そうしよっか」


 おばあちゃんの入っているこたつに二人で入ってテレビを眺める。夕方のワイドショーがやっていた。時間はもう六時二十二分だった。

 きらなちゃんもう少しで帰っちゃうなあ。


「ただいまー!」


 ドタドタと廊下を走って、居間に天が飛び込んできた。


「あら、おかえりなさい。今日は早いのね」


 お母さんが台所から顔を出して天に言った。


「うん、今日はみんな早く帰っちゃった。用事があるんだって。僕もなんか用事ないかな」

「ないわよー、あ、そうだ。綺羅名ちゃんが来てるわよ。晩御飯も作ってくれたの」

「きらなちゃん?」


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