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たかしちゃん  作者: 溝端翔
プロローグ
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私だったらなんなんだろう

Xツイッターにてキャラクターのデザインイラストも投稿しております。

よければフォローの方もよろしくお願いします。

 クラス替えなんて私には関係ない。

 どこのクラスになっても私は一人だから。


 今日、私が一番嫌なことは友達と別々のクラスになるとかじゃない、友達のいない私にはただただ自己紹介の時間が苦痛だった。


 二〇〇一年、四月九日。

 晴天の空の下、前野中学校の校庭に、一年生、二年生、三年生のクラス名簿が貼られた看板が建てられていた。

 私は二年生の看板の前に立ち、一組から順番に自分の名前を探し始めた。


 周りにいる人たちは「一緒になれてよかったねー」とか「俺ら別のクラスじゃん。最悪」とか、各々が一喜一憂している。


「わあー! おんなじクラスじゃん!」

「本当だー! やったー!」


 嬉しそうな声が聞こえる。

 いいなあ。私には同じクラスになって喜べるような友達はいない。


「うわ、俺三組だわ」

「俺一組」

「俺も一組」

「俺だけ別のクラスかよ。最悪」


 落胆の声も聞こえる。

 いいなあ、私には別のクラスになって悲しがれるような友達もいない。


 私はというと、ただ自分のクラスを探して、見つける。それだけ。

 あいうえお順に並んでいるクラス名簿のうち、自分の名前は高橋だから真ん中くらいに書いてあるのはわかっているけれど、上から全員分目を通していく。


 どうせ早くにクラスに行ってもどうしようもない。周りが楽しそうにしている中、私だけぽつんと一人席に座っていないといけない時間が長くなるだけだ。


 そうして、時間潰しを兼ねながら張り出されたクラス名簿を上から順にゆっくりと指差し、自分の名前を探していると、後ろから騒々しい気配が近づいてきた。と思ったら知らない女の子にぶつかられていた。


「きゃっ、ごめんなさい」

「だ、大丈夫です……。ごめんなさい」


 悪いのは自分じゃないのに、咄嗟に謝ってしまう。


 どうやら、掲示板の前にいる友達の元に急いでいたようで「本当ごめんね、まえ全然みてなくって……」と言いながら私の方を振り返った彼女は、ぶつかった相手が私だとわかった瞬間「ってなんだ、高橋さんか」と踵を返して走っていってしまった。


 なんだってなんだろう。


 私だったらなんなんだろう。

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― 新着の感想 ―
たかしちゃん不憫すぎる。。。
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