表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/106

力太郎

太郎シリーズの有名な作品ですよね

 むかしむかし、それはもう、まずしい じいさまとばあさまがおった。ふろなぞ、めったに入れんもんだから、体中こんびだらけであった。

 ある日のこと、じいさまが言った、

「わしらには、もう、子供はできねえ。せめて、2人のこんびでも落として、人形でもこさえるべや・・・ 」

 ばあさまが言った、

「まっ黒けじゃが、かわええ。こんび太郎と名づけましょ。」

 ばあさまが、まんまをやると、こんび太郎は、いきなり手をのばし、ぱくんと食ってしまったので、2人は、たまげながらも、大喜びして、どっさりとまんまをやった。

 こんび太郎は、食えば食うだけ大きくなったが、ほぎゃあとも言わず、ねたまんまであった。

 ある日のこと、こんび太郎は、百貫目の金棒をつえに立ち上がると、見上げるようなでかい若者になったので、じいさまは、びっくりして、

「ふわっ!こらま、すげえ力だ。こりゃもう、こんび太郎でのうて、力太郎じゃ!」

 力太郎はこたえた。

「おら、これから旅に出て、この力が どんくらい人の役に立つか、ためしてみてえ。」

 さて、力太郎が町をめざして行くと、向こうから道いっぱいになるほど大きな「みどう」をかついでくるものがおる。

「これじゃ とおれん」と力太郎が、金棒でみどうをひとつきすると、どんがらりんと音立ててこわれてしまったので、男はまっ赤になり、

「やい、やい、やい!、日本一の力持ち、みどうっこ太郎をしらんのか!」

 力太郎は、つかまれた金棒をだまって、ぶん回すと、男は空高く、はねとばされていった。

 そのまんま、待っても待っても落ちてこんかったが、ずいぶんとたって小声で、「たすけてくれよう」というのが聞こえ、見回してみると、やれやれ、そこいらで一番高い松の木のてっぺんに ひっかかっておった。

 力太郎は、その松を根っこぐるみひっこぬいて、おろしてやった。

 みどうっこ太郎は、ためいきをつき、

「どうか、いっしょに たびをさせてけれや」とたのんだ。

 しばらくして、向こうから、大きな石を ごんごろ、ごんごろ、ころがしてくるものがおる。

「あやあ、あのまんまじゃ、ほかのものに ぶつかるが・・・」

 力太郎は、ころがってきた大石を、金棒でがちんとうけとめ、「これ、いたずらすんなって」言いながら、つんとけると、石は、男にまともにぶつかったので、男はおこったのなんのって、

「おらのことを、日本一の力持ち、石こ太郎と知ってやったことか!」

 力太郎は、石こ太郎の首ねっこをつまんで、ぽいとぶんなげると、石切場の石くずの中に、首までうずまってしまい、やっとこすっとこ はい出た石こ太郎も、いっしょにたびをさせてくれるよう、たのんだ。

 さあ、こんどは3人になって、のっしじゃんが ずしん、のっしじゃがんが ずっしんと行くと、とうとう大きな町についた。

 ところが、まっぴるまというのに、町には 人っ子ひとり見あたらん。・・・3人は町中を、ずいずいずいと見てまわると、町一番の長者どののやかたの前で、むすめがひとり、うずくまっていた。

「あねこ、あねこ、なして、ないておるのか?」と聞くと、

「ばけものが おっかねえからです」

「ばけものだと?」

「はい、それが大きな大きなばけもので・・・」

「ええとも、ええとも、おらたち3人で、たいじしてやっから、なくのをやめて、家に入れてけれ」

 やがて夜になると、なにやら黒いけむりが、あたりをもわんとつつみ、わやわやとうずまくと、その中から、町中に聞こえるような声がした。

「むすめは よういしとろうな!ぐはははは!」

 それから山の向こうからどえらい地ひびきを立てながら、そいつが ぬっくと姿をあらわした。

 みどうっこ太郎が、ずんとぶつかっていったが、ひょいとつまみあげられ、ずぼんと のみこまれてしまった。 石こ太郎がつづいてとびだし、組みつこうとしたが、これも何もできんうちに、げろんと のみこまれてしもうた。

 そこで力太郎が、すっくと立ち上がり、

「ようし、こんだあ、おらが あいてだぞ!」

 ばけものは、力太郎の金棒をつまむと、あめみたいにまげてしまった。

「そんなら、取っ組み合いだあ!」

 2人は、えんさわんさ、さんざんもみおうたが、かちまけがつかん。どうも、力太郎のほうがあぶない。

 これじゃいかんと思うた力太郎は、いきなりあいてを下から けりあげた。

「んぎゅっ、むうっ」

 そいつは、ぶはっと みどうっこ太郎と石こ太郎をはきだすと、ぼかぼかぼかっと、きえてしもうた。

 こわごわようすを見ていた町のものも、大よろこびで、出てき、長者がすすみ出て、

「おかげさまで・・・、おれいには、何がよいじゃろうか?」3人は顔を見合わせ、ふっふとわらい、

「そうじゃなあ、一番でっかい かまいっぱい、まんまをたいてけろ」

 力太郎は、たすけたむすめといっしょになり、じいさま、ばあさまをむかえた。あとの2人も、村のむすめといっしょになり、そこで、ずうっとくらしたそうな。



※こんび…垢、老化した皮膚

ブックマークよろしくおねがいします

感想いただきけると嬉しいです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ