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たけのこ童女

 むかし、むかし、桶屋で働く若者が桶にする竹を切っていた時のことです。

「ねえ、そこのおにいさん。」と、どこかで声がしました。

「誰だ。俺を呼ぶのは。」周りを見回して言いました。

「ここ、ここよ。聞こえない。助けに来て。」

 またしても、聞き覚えのない声が聞こえてきて、声は必死になっているようでした。男はもう一度周りを見渡しましたが、誰も見当たりません。

「竹やぶの一番太い竹を見つけて。その中に座っているわ。」

 男は、周りを見回して、竹やぶで一番太い竹を見つけ、その竹をのこぎりで気をつけて切ってみると、驚いたことに、その竹の空洞の中に、ちっちゃな女の子が座っていました。

 驚いている男を尻目しりめに、女の子は竹から飛び出し、ほっとした表情で、女の子は言いました。

「よかった!自由になったわ!竹から出る手助けをしてくれてありがとう。」

「いったい、どうしてこんな竹の中にいたんだ。」

「私は、神様の罰でずっとここに閉じ込められていたの。とてもいたずら好きだったの。とんでもないことをしてしまったの。神さまは、単純ないたずらとして済ますわけにはいかないと思ったのでしょう。」

「何をしたんだい。」

「神さまの大事な宝物をいくつもを壊してしまったの。神さまは我慢の限界を超えてしまったのね。それで私を罰して竹の空洞に閉じ込めたの。」

「そんな話、聞いたことがないな。まだ名前聞いてなかったな。名前は。」

「確か、名前はあったはずだけど、もう忘れてしまったわ。ずっと昔のことだもの。竹の子童女と呼んで。」

「わかった。竹の子童女。まだ幼い子のようだが、本当は年はいくつだ。」

「お仕置きを受けたのは八つの時よ。それからもう百年も経っているの。だから、今は百八歳よ。」

「こりゃ驚いた。おれよりずっと年上だ。」

「私、ずっとこの中で眠らされていたの。そう言えば、あなたのお陰で目が覚めて、この竹から出ることが出来たんだわ。だから帰る前に、よかったらあなたの望みをかなえてあげるわ。でも三つだけよ。思っていることを話してみて。」

「そうだな、君がそう言うなら、一つ。俺はサムライになりたいんだ。サムライになれたらなあ、って小さい時からずっと思っていたんだ。」

「わかったわ。夢をかなえてあげるわ。私が三つ数えるまで目を閉じていて。いいこと。一つ、二つ、三つ。」

 目をあけると、男はサムライになっていました。

「信じがたきことなれど、拙者サムライでござる。かたじけのうござる。」

 と言うと、男は背筋をぴんと伸ばし、旅立っていき、竹の子童女も、はるばる天上界へと、旅立って行きました。

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