表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/106

赤ん坊を食べた女

 むかし、むかし、三人の男が旅に出ました。

 野を越え、山を越え、旅を続け、長者の家の門にやって来て、国一番の能力ある娘婿を求む、という札を見つけました。

「これはいいぞ。早速中に入って、申し込もう。」三人は門をくぐりました。

 長者は三人と面談しました。三人とも有能な男に見えたので、三人の内、誰が優れているか決めかねました。

 そこで三人に言いました。

「東、西、正面にそれぞれ千反の田んぼがある。それぞれがその一つを耕すのがよかろう。誰が一番の働き手か見てみよう。」

 三人はそれぞれ長者の娘婿になる決心でした。三人は三十人分の釜で炊かれた米をたいらげて、それぞれの田んぼを耕し始めました。

 普通の人なら十日かかったかも知れない田んぼを、三人は両手に二本の鍬を持って、ものすごい速さで掘り返し、たった一日で終えてしまいました。三人は同時に田んぼから戻りました。

「うん、今日の働き振りには驚いた。三人とも同じ能力で決めがたい。もうしばらくここに留まって働いてくれるかな。」

 三人は、喜んで了解すると召使いとして働きました。何日も経ちましたが、がっかりしたことに、娘は一度も顔を出しませんでした。背中をちらっと見ただけです。ますます見たくなりました。

 ある晩、二人は、こっそり家の中に忍び込むと、娘の部屋をのぞきこみたところ、髪を振り乱した白い着物を着た女の人が、隅の床板を開けていました。床から棺おけのような箱を取り出しました。

 二人は、恐ろしいものの、好奇心の方が勝り、息をこらえて、女を見ました。ニャっとすると、女は棺おけの中から赤ん坊の死体を取り出し、短刀で腕を切り落としました。

 そして、ごちそうのように腕を食べ始め、二人に話しかけました。

「食べる?」そして血が滴る腕を二人に押し出しました。二人は恐ろしくなって、婿を望む所ではなく、そんな場所にはいたくありません。夜、一目散に逃げ出しました。

 さて、もう一人の若者は、台所で火を起こしていましたが、このことを耳にしました。

「よし、俺が確かめてやろう。」娘の部屋を覗きに行きました。髪をなびかせ、血の滴る赤ん坊の頭を食べている白装束の鬼女がいました。

 最初、驚いたものの、よく見ると、鬼でもなく、蛇でもなく、鬼の仮面を被って、もちでできた人形を食べている女の人でした。血に見えたのは単なる紅でした。自分も食べられると思い、若者は声をかけました。

「娘さん、脚を一本下さい。」と言うと、戸を開けて手を伸ばしました。

 これを聞いて、娘は、

「それを聞きたかったの。今まで、何人もの人がここへ来て私の夫になりたがったの。でも私を一目見て、怖気ついて逃げてしまいました。誰も留まる勇気はありませんでいた。あなたこそ、私の夫に相応しい人です。」と言いました。

 仮面と白い衣を脱いだ娘は、目もくらむほどの美人でした。長者も大喜びです。長者は、親戚、友人、召使いも宴に招き、娘の結婚を発表しました。

 やがて、二人の間には子供が生まれ、代代、家は栄えました。

ブックマークよろしくおねがいします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ