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垢太郎

 むかしたいへんめんどうくさがりなおじいさんとおばあさんがいました。

 なにをするのもめんどうくさくて、何日も家の中でじっとしているだけだったのですが、ある日ふたりが何の気なしに体をこすったところ体からあかがぽろぽろ落ちてきました。

 お爺さんとおばあさんはなんだかそれが面白くて体のあちこちをこすっては、前のものと一緒にしてぎゅっと丸め、またこすってあかをだしてはさっき丸めたものに、さらにくっつけて・・とやっていたら、しまいには一かたまりになったので、ちょっといたずら心を起こしたおじいさんは、それを小さな人の形にしてみました。

 できあがった小さな人形をみているうちに、なんとなくそれが可愛くなってきたおじいさんとおばあさんは、そのまま捨てるにはかわいそうな気がして、あかで作った小さな人形をとりあえず神棚において、特に何を拝むでもなくぱんぱんと手を打ちました。 すると不思議なことに神棚に上がった人形がとつぜんむくむくと体をゆすったと思ったら、大きく伸びをして周りをきょろきょろ見回したのです!

 ふたりは夢でも見ているのかと思ってぽかんとそれを見ていましたが、すぐに神棚の人形とおじいさんとおばあさんの目が合い、人形はぴょんっと下に飛び降りたかとおもうと、ふたりの前にすっくと立ちました。

 お爺さんとおばあさんとあかで作った人形は黙ってお互いを見ていましたが、しばらくすると人形がいいました。

「じ様、ば様、おらはらがへった。」

 お爺さんははっとして

「おお、そうか・・、そうじゃな。ではちょっとまっとれや。」

 といって隣近所の台所に駆け込んでわけを話し、とにかくいくらかの野菜やなにやらをもらってきて、それをおばあさんが料理をして、あかで作った人形―あかたろうに食べさせました。

 ふたりの住んでいる村は大変貧しく、その日暮らすのも大変でしたが、でも心の優しい人たちばかりでしたので、すぐにおなかのすいている子供のために持っているもので分けられるものをお爺さんたちにくれたのでした。

 あかたろうはなんでも喜んでぱくぱく食べるので、それを目を細めて楽しそうに見ていたおじいさんとおばあさんは、ふとあることに気が付きました。どうやらあかたろうはご飯を一膳食べるとご飯一膳分大きくなるようなのです。 何日かして随分と大きくなったあかたろうはある日お爺さんにこういいました。

「じ様、おら金棒がほしい。金棒をくれろや。」

 お爺さんとおばあさんは金棒など何にするのかと思いましたが、神さまに命を吹き込んでいただいたあかたろうです、きっとなにかわけがあるのだろうと、村の鍛冶屋へ行き、こうこうこういうわけで金棒を作ってくれないかと頼みました。

 すると鍛冶屋は、事の次第を知っていましたし、お爺さんたちと同じ考えだったので、自分から金棒を作って、あかたろうに渡してくれました。

 それからあかたろうはお爺さんとおばあさん、村の人たちに別れを告げて、おばあさんのこしらえてくれた赤いちゃんちゃんこを着て、一人で金棒を肩に担いで村を出て行きました。

 おじいさんとおばあさんはそれから毎日神さまに「どうかあかたろうが無事でいますように。そして元気で戻ってくれますように。」と朝に晩にお願い事をし、いつあかたろうがおなかをすかして戻ってきてもいいように、それからはせっせと畑を耕し、そこでとれた作物を売りにいったりして、ふたりで一生懸命働きました。

 そして三年の月日が経ち、ある日のこと、出て行ったときよりずっと大きくなったあかたろうが戻ってきました。

 あかたろうは世の中に出たあと、持っていった金棒を使って、沢山の鬼を退治してはいろんな人たちの困っていることを助け、そのたびにお礼として食べさせてもらったご飯でどんどん大きくなり、またこれも御礼の宝物やお金を持って、見違えるほど立派になってかえってきたのですが、体はあいかわらずあかのままでした。

 お爺さんとおばあさんはあかたろうを見ておおよろこびし、村の人たちを呼んで盛大にお祝いし、みんなで飲んだり騒いだり、あかたろうのこれまでの話を聞いてびっくりしたりおおわらいしたりして、とても楽しく過ごしました。 夜もふけて、村の人たちが帰っていくと、おばあさんはお爺さんにあかたろうと一緒に風呂に入って、長旅の疲れを取るようにと言いましたので、お爺さんも

「それがいい。あかたろう、長いたびでさぞつかれたことじゃろう。どれ、わしがお前の背中を流してやろうや。」といいました。

 あかたろうはちょっと考えましたが、「そうじゃな。」といって、二人でおばさんの沸かしたお風呂に入り、先にお爺さんの背中をあかたろうが洗って流してやりました。

 そして、おじいさんがあかたろうの背中を洗い、うえからざーっとお湯をかけたのですが・・!あかたろうはみるみるうちにお湯に溶けて、すっかり姿が見えなくなってしまいました。

 お爺さんもおばあさんもとってもあわて、びっくりして、あかたろうをお風呂に入れたことを後悔しましたが、もうあかたろうは戻ってきません。

 あかたろうがいなくなったことは大変さびしく悲しいことではありましたが、お爺さんとおばあさんはあかたろうがいてくれたおかげで一生懸命働くことができ、あかたろうがもってきてくれた沢山の宝やお金もあったので、村のひとたちとも分け合いながら、その後もふたりでよく働いて達者で幸せに暮らしたということです。

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