表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
28/60

28 ピンクな訪問者

 全身ピンクの訪問者――。目的は何だろう。全くわからない。分からなすぎて怖い。なんか石とか持ってるし。

「――危険かもしれないわ」

「え、ピンクマンが!?」

「何その呼び名。っていうかアンタ忘れたの?」

 リンドウさんは腰を上げると、どこからともなく小さな植物を取り出した。水色の茎の先には、薄桃色のツボミ。

「なんですか、これ」

「魔果実を改造したものよ。声を覚えさせて伝言板代わりにさせることができるんだけど、アタクシ鍵を持ってそうな魔法使いの所に片っ端からこれを置いてきてたの」

「それとショッキングピンクに一体何の関係が?」

「この魔果実は、伝言を一定時間無視したら爆発してピンク色の果汁を撒き散らす仕様になってる」

「え、じゃああのピンクマンは……!」

「そう」

 不思議な色をした杖をスカートから出し、リンドウさんはギンと前を睨んだ。

「魔法使いの家から帰ってきたってことね。狙いはアタクシかアンタか……もしくは、鍵」

「……!」

「さてアンタ、誰かに鍵やアタクシのことを漏らしたりしたかしら?」

「ううん! 私、ヴィンとアッシュとリンドウさんとオルグ様以外に交流無い!」

「潔い交友関係ね。だとすると怪しいのは、アンタの婚約者のオルグ様ってことになるわ」

「そんなことは……!」

 ――無い、とは言い切れる証拠は無い。だけど彼は今、ヴィンと一緒にトゥミトガ団のアジトへ行っているのだ。裏切っているとしたら、行動が矛盾している。

 でもそれを伝えると、リンドウさんに鼻で笑われた。

「そんなの逆に怪しいじゃないの。ヴィンを遠ざけて、アタクシとアンタをこの城に二人きりにする。もともとそういう魂胆だったんじゃない?」

「ワン! 我もいるぞ!」

「だってアンタぬいぐるみでしょ。勘定に入れられるわけないじゃない」

 ……いや、それだともっとおかしい。だってオルグ様は、アッシュの正体も強さを知っているからだ。もし城に私とリンドウさんだけを残したいなら、色々理由をつけてアッシュも連れて行くだろう。

 けれど、そうなると私達の情報を流していたのは誰なの? 考える間も無く、大きな爆発音と共に城が揺れた。

「来たわね。さー、こてんぱんにしてやるわよ!」

「戦うの、リンドウさん?」

「あったりまえでしょ。こちとら舐められたらおしまいの商売よ?」

「え、じゃ、じゃあ!」

 アッシュの首根っこを掴み、私はがばっとリンドウさんに飛びつく。そのまま思いきり、二人ともぎゅーっと抱きしめた。

 自分では使えないけど、私の体からは強い魔力が滲み出ている。なのでこうすれば、自分の魔力を分け与えることができるのだ。

「こ……これは、思ったよりすごいわね」

 私から離れたリンドウさんは、身体中に淡い黄色のオーラを纏わせて呟いた。

「どうなってんの、アンタの体。滲み出た魔力だけでこれだけの力って」

「わかりません!」

「そりゃ狙われるわ……」

「願わくばヴィンだけに狙われたいです!」

「アンタ隠さなくなってきたわね」

「おい、女ども」

 話している私達の間に、ずいと中性的な美形のツノお兄さんが割り込んでくる。彼は長い親指で背中の方を指した。

「遊んでいる暇は無いぞ。ピンクはすぐそこまで来ている」

「誰!!!!??」

「アッシュですよ。そういえばリンドウさんは初めて見るんでしたっけ」

「アンタの周りの男、どうなってんの!?」

「そんなこと言われてもな。アッシュ、どう? 敵は一人?」

「中に入ってきているのは、一人……いや、三人だな。しかし、城の周囲にいくつか気配を感じる。これからもっと増えるかもしれん」

「めちゃくちゃ有能じゃないの……。でも残念ながらアタクシのタイプではないわね。ごめんなさい」

「ロマーナ、この失礼なの頭からかじっていいか?」

「まて」

「ワン」

 外にもピンクの仲間がいるのなら、逃げたところで捕まってしまうだろう。だったらいっそ、城の中で迎え撃つべきだ。そう結論づけた私達は臨戦態勢に入った。

「……妙だな。あのピンクども、真っ直ぐにこの部屋を目指してきている」

 ふと、アッシュが眉をひそめる。

「何故奴らには我らの場所が分かる? ここは二階だ。外から見ているのなら即座に我らが気づくだろうに」

「確かにね。もしかして、部屋に何か仕掛けられているとか?」

「それは無いだろう。ヴィンに命じられ、我が一通り調べたからな」

「そんなことまでしてくれていたのね……ありがとう。でも、それならどうやって」

 ドアを警戒する二人の代わりに、私は窓のほうに目をやる。空は今日も鮮やかに青くて、雲が気持ちよさそうに泳いでいる。窓辺では白い小鳥が羽を休めていて、まさに平和そのもので……。

「ピギャーーーーッ!」

「えええええええーーーっ!!?」

 なんて思っていたら、黒いフクロウが白い小鳥に飛びかかった。あれはオルグ様の使い梟である。数日前にも似たような光景を見た気がするな。

 ……いや、気がするんじゃない。私は確かに見たのだ。そしてアッシュも、以前窓の外にいた怪しいものを追い払ったと言っていた。もしかして、その時にいたのも――?

 だが私が答えに辿り着いたと同時に、扉が破られた。

「来たわよ、アッシュちゃん! 全力でアタクシに協力なさい!」

「貴様が我に協力するのだ! 間違えるでない、魔女よ!」

 立っていたのは、目に焼き付くようなショッキングピンク色をした三人の男。あの時の侵入者と同じくゴテゴテとした装備を身につけ、片手には石を持っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ