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2023 小野寺ルミ編  作者: 仮面ライター
11/21

7月15日(土)

 身体が左へ回転するのを感じて、目が覚めた。今の今までどんな夢を見ていたのか、思い出せそうで思い出せない。

 それにしても、暑っついなぁ。寝起きの頭に、蒸し暑さが重なって、ますます思考が働かない。タオルケット、出したっけ? その前に、洗濯機の水着、干さないと。畳に手をついて上体を起こす。

 枕元に置かれたメモ書きによると、彩夏とお嬢ちゃんは既に帰宅したらしい。お昼前から五十鈴の市民プールに行って、帰ってきてから遅めのお昼を食べ、タオルと水着を洗濯機に放り込んでから、三人で川の字になって昼寝したんだっけ。で、いま何時?

 窓の外はまだ少し明るいけど、19時? 適当な晩ご飯を食べようにも、乾麺も冷凍ご飯も切らしてたな。今からご飯炊いて、色々片付けながら何か作るのも面倒くさいなぁ。

 でも、このままゴロゴロしてても暗くなるだけだし、のそのそと壁に手をついて立ち上がる。まずは水分補給とお昼の後片付け。冷蔵庫を開けると、ポットにたっぷり入った麦茶が冷えていた。買い置きの素麺を食べ切った痕跡も、綺麗に片付けられている。

 麦茶をコップに注ぎ、立ったままグーっと飲み干すと、その冷たさに頭が少しずつ冴えてくる。もういっぱいコップに注ぎ、ポットを冷蔵庫に戻しながら半分飲む。コップを食卓において、脱衣所の洗濯機のところまで行くと、お風呂場の突っ張り棒に、水着とタオルとが干してあった。

 さっきのタオルケットも、もしかして彩夏? 何から何までやってくれるなんて、なんてよくできた人なんだ。コレが独り身と子を持つ親の差? 帰るときに起こしてくれればよかったのにと思ったけど、それも彼女なりの優しさか。

 正体不明の敗北感に苛まれながら、飲みかけのお茶を飲み干した。LINEを立ち上げて、「今起きた。ありがとう」とメッセージを打ち、この後どうしようか思考を巡らせる。

 寝汗は気持ち悪いけど、お風呂場の洗濯物はもう少しそのままにしておきたいし、今からシャワーを浴びて外に出たとして、寝る前にもう一回シャワーを浴びるのもちょっぴり面倒臭い。

 仕事用鞄の底から汗拭きシートを取り出し、首回りと腕まわり、手が届く範囲をサッと拭いた。パッと顔を作って、多少着替えて食べに行くのも面倒だし、久々に吉野家のテイクアウトでもしようかな。

 学生時代に買ったティアドロップのサングラスをかけたら、スッピンでもなんとかなるでしょ。知り合いに会ったとしても、やり過ごせるさ。

 そうと決まればお出かけ用のカバンに財布を入れ、洗面所で顔だけ洗って変な線がついていないか確かめる。お茶を飲んだコップを洗って片付けると、戸締りを確認して自転車の鍵を掴んだ。

 泥除けに貼った学校指定のシールが外れただけの、十年選手の自転車に跨がり、近くの吉野家へ向かう。たこ焼き屋の前の交差点を南茨木の方へ曲がれば、あっという間に到着だ。

「おぅ、ルミじゃないか。また会ったな」

 駐輪所に自転車を入れ、鍵をかけていると後ろから声がかかった。そちらを振り返ると、今日のプールでも遭遇した透が、持ち帰り用の袋を提げて立っていた。

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