クリス side
「母さん! 母さん!!」
「ん……ケイド……?」
ここは……確か私はアヴニール様とお話ししていて……いつの間にか眠ってしまっていたのかしら、アヴニール様に失礼なことをしてしまったわ。
うっすらと目を開けると私の可愛い子供たちのケイドとミシェルが心配そうな泣きそうな顔で私を見ているのが見えた。
「お母さん……」
「よかった……母さんが無事で……。 いつまで経っても母さんの声がしないと思って部屋に入ったらアイツは居ないし、母さんは意識ないしで心配したんだからな」
そう……アヴニール様はお帰りになられてしまったのね、神様の使者様なのだからこんな所にずっといらっしゃるわけなかったわね。
私の願いは……私が死んだ後の願いは聞き届けて下さったのかしら。
「ごめんなさいね、心配をかけて」
「全く、病気の母さんを放置してアイツはどこに行ったんだよ。 次会った時は許さないからな」
アヴニール様がいらっしゃらないことに怒っているみたいだけどもあのお方は使者様なのだから大変なお役目があるから無理を言ってはいけないわ。
「クリス、今日の薬を持って来たよ」
「ジョディさんだわ、ケイドご案内して」
ジョディさんはこの村唯一のお医者様でどうしてこの村に居るのかはわからないけども、私の様子を毎日見に来て下さってるの。
私の言葉にケイドは素直に頷くとジョディさんを迎えに行ってくれた。
「……クリス、何かあったのかい?」
「え?」
ジョディさんは部屋に入って私を見た瞬間に固まってしまったが、驚いたように何かを確認するかのように問いかけてきた。
特に何かしたわけではないのだけどもジョディさんは何に驚いているのかしら?
「いいかい、私の目が魔眼なのは知ってるだろう」
「ええ、確か人の魔力が見えるとの話でしたよね?」
「ああ、私にはその人の魔力量、色が見える。 そのおかげで昔は冒険者をやっていたんだが……まあ、その話は今は関係ないね。 クリス、あんたの魔力が昨日より増えてると言うか回復してるんだよ、完全に回復してるわけじゃないからもう少し休まないといけないけど」
……そう言えば昨日まで感じていた体の疲れがなくなっているわ……息苦しさもなくなってるから息もしやすいような気が……。
それに……。
「お腹が空いたわ」
「あっはっはっ! お腹が空くのは元気になってる証拠だね、今から作って来てあげるから台所借りるよ」
食欲も最近は無くなってきたからスープくらいしか飲めなかったからか今は凄くお腹が空いてしまているわ、ジョディさんは私の為にご飯を作りに行ってくれた。
恥ずかしいけどもお腹が空く感覚も久しぶりね……でも、昨日も今日も特に何も……あっ!
「きっとアヴニール様だわ」
「え、アヴニール? あんな石に何が出来るんだよ、母さん」
「ケイドにはまだわからないのね。 あの方は使者様なのだからあまり失礼なことは言ってはいけないんわ」
そうよ、こんな奇跡が起こるなんてアヴニール様が何かして下さったに違いないわ。
アヴニール様、私は貴方様に救われたこの命で子供たちとこれからを生きて行きます……本当にありがとうございました。
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