エリザベート side②
トール様が王太子になればそんな私だけを娶ることなんて許されない。
「アリィがロナルドのようにならないように教育すればいいでしょう」
「アリィはまだ幼いだろう」
「父上が甘かったせいでロナルドに酷い目を見せられた女性が何人も居るのですからね」
トール様と国王様のお話を聞いているとロナルド様には色々と悪い噂があったみたい、様々な女性の方とお付き合いしたり泣かせたり、中には暴力を振るわれた方もいらっしゃるそうだけどもそれはロナルド様の側近の方が口止めをしていたそう。
私はロナルド様の婚約者だったのにそんなことも知らなかったのね……。
「エリー、そのヴェールを取って国王様に見せてさしあげなさい」
「……はい、お母様」
国王様の許可を取ってヴェールを被ったままだったんだけどもお母様の言葉に素直にヴェールを取る、すると私の姿を見た国王様が驚いたように目を見開きその目には悲しげな色が浮かんでいた。
何を言われるのか分からずドキドキしていると国王様が頭を下げた。
「エリザベート嬢、息子がすまなかった……!」
「そ、そんな! 国王様が謝ることではございません! この度のことも私が不出来だったばかりに……」
「……息子の仕出かしたことを謝るのは親の責任じゃ。 若い女性にそんな傷をつける息子を育てたわしのな」
国王様は心髄に謝罪して下さっていらっしゃるのだから私がそれ以外、国王様を責めるつもりはない。
それにロナルド様がああなったのは私がしっかりしていなかったこともあるのだから……。
「私たちは娘のこんな姿を見て本当にロナルド殿下を殺そうと思いましたわ。 しかし、トール殿下が娘を貰って下さるとのことで私たちも怒りを鎮めましたのですよ」
「しかし……」
「それに私たちの娘は神様にも愛されてますのよ? エリー、あれを」
お母様が仰ってる”あれ”ってもしかして……。
私はあの日からずっと身に着けているアヴニール様から頂いたお薬の入った瓶を取り出した、どこかキラキラと虹色に輝いているように見えるこのお薬は特別な物なのだろう。
アヴニール様はこれを飲めば全ての傷が治ると仰っていましたがそんなお伽話のようなことが本当にあるのかしら……?
「それは?」
「これは特別な方からエリーにと貰った薬ですわ。 これを飲めば全ての傷が治る、と」
国王様は訝しそうに薬を見ていたが、ふいに何かを思い出したのかお父様の方に顔を向ける、お父様はむすっと不機嫌そうにしながらもそんな国王様の視線も気にしてない……と言うよりは無視しているのでしょうか?
国王様の視線を感じているはずなのに何も言わずに立っていた、お父様が何も言わないことに諦めたのか今度はお母様の方に向き直る。
「あの時の魔物のような奴か」
「魔物の様だなんてアヴニール様に失礼ですわよ? あの方は私の娘を助けて下さっただけでなくエリーにこんな薬まで下さったのですから」
「そんな得体のしれない奴の薬をえりざエリザベート嬢に飲ませるのか? 何かあったらどうする」
「ええ、旦那様もこれを飲ませることは否定しておりましたわ。 飲ませるとしても調べてからだと……でも、それでは効果がなくなるかもしれません。 なので……エリー、飲みなさい」
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