⑨
「君はどんな姿でも綺麗だよ、エリー。 父上に認められなくてもいい、エリー……僕と結婚して欲しい」
「え?」
「エリーの幸せを考えて身を引いたんだ。 でも、婚約破棄をされたのなら僕がエリーを貰ってもいいだろう? ロナルドも馬鹿だよな、こんなに美しい人を嫌がるなんて」
第一王子の言葉にぽかんとした表情を浮かべていたエリザベートの顔は段々と赤くなってきているのがわかり、エリザベートが俯こうとしていても第一王子の手がえエリザベートの頬に添えられているので顔をそらせないようだ。
二人の周りには薔薇の花が咲いたように見える……と言うか色とりどりの妖精が二人の周りで待っているだけだが、人には妖精が見えないからな。
「トール様、私は……」
「嫌?」
「そんなことは……私は幼き頃からトール様をお慕いしておりました」
「エリー」
完全に二人の世界に入ってるけども両親や私が居ることを覚えているだろうか?
私的には円満で終わったので地蔵として半分は満足できた、もう半分はエリザベートの火傷を綺麗に治したらハッピーエンドだ。
漸く、私たちの存在に気付いたのかエリザベートは真っ赤になりながらも恥ずかしそうにもじもじしており、第一王子は平然としている。
父親も漸く魔法を解いて貰ったのかむすっとしながらもエリザベートが幸せそうなので黙認することにしたらしい。
「エリー、貴女が好きなら私はそれでいいわ」
「お母様……」
「大丈夫よ、貴女にそんな傷を負わせたあの男には死よりも辛い目に合わせてあげるからね」
エリザベートは感動しているようだが第二王子の命運はどうなるだろうな、女性にあんな火傷を負わせるのは地蔵としてアウトなので庇うつもりはない。
私は奇跡を起こす地蔵ではあるが、神様からは私の采配で悪い者には天罰を与えても良いと言われている。
良き者には奇跡を悪い者には天罰を、それが地蔵である私の仕事なのだから。
「そうだね、どんなエリーでも愛せるけどもこんな酷い怪我を負わせたんだから僕からも父上に言っておくよ」
「消し炭にした方が早いだろう」
「あら、駄目よ。 消し炭になんかしたら後悔せずに死んでしまうじゃない。 私の大事な子供にこんな傷を負わせたんだから後悔して貰わなきゃ」
エリザベートはちゃんと愛されてるようでよかった、これならば私が離れた後も問題はないだろう。
この家がほとんど使われなかったのはあれだがこのまま残しておくのはありだろう、使用者も限られるから避難場所にもなるだろうしな。
「エリザベート、暫く何も食べていなかっただろう。 こででも食べて家でゆっくり休め」
「そうよね、エリザベートは三日間もこの森に居たんですもの。 ゆっくり休まなければいけないわ」
「ここはこの四人しか入れないようになっている。 権限者をエリザベートにしておくからエリザベートが許可をしない者は入れないし、この家を壊すことも出来ない」
私はまた旅をしなければならないのでエリザベートにこの家の権限を任せる、エリザベートが許可を出せばこの家も壊せるからそれがいいだろう。
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