⑦
「今のエリザベートに会うには覚悟が必要だな。 会えば確実に先ほどの王子を殺したくなると思う、別に私は王子がどうなろうと関係ないが」
「よし、今から殺してくる」
「リアムっ、止めろと申してるであろう! ……そこの者、エリザベート嬢はそこまで疲労しておるのか?」
母親も殺意は高いがまだ落ち着いている。
父親の方は今からでも王子を追いかけて殺したいようだが、王様がそれを必死に止めているようだ。
……まあ、王様も今のエリザベートの姿を見れば父親を止められるかどうかもわからないが、それほど火傷の跡は酷いからな。
「ああ、エリザベートの体には酷い傷がある」
「父上、僕も行かせてください」
静かに現れたのは黒髪の若い男、すぐに鑑定してみればこの男がエリザベートが恋心を抱いている第一王子のようだな。
第一王子の母親は第一王子を産んですぐに死んでしまったようだ、そのせいで後ろ盾がない第一王子ではなく第二王子が自分が次期王だと思い込んで偉そうにしてるようだな。
民衆からの支持が高いのはやはり第一王子みたいだ。
「しかし、お前は……」
「お願いします、エリザベート嬢は僕の弟のせいで傷を負ってしまったのならそれも謝罪しなければならない。 父上が森に行くことは出来ませんから王族として僕が行ってきます」
「……わかった……もし、リアムが暴走しそうな時は止めてくれ」
「……僕のような若輩者にリアム様が止められるかわかりませんが、努力します」
宰相である父親は見た目的には文系なのだがそこまで言われるほどこの国では強い部類なのだろうか。
父親よりも心配すべきは母親の方だと思うが私には関係ないので問題はないか、それでは転移するのは両親と第一王子の三人のようだな。
「む? エリザベートも目が覚めたようだ。 行くのであれば私の体に触れていろ」
「ええ」
「行くぞ」
三人が私の体に触ると心配そうな表情をしてる王様を尻目に先ほど作った家の外に転移した。
いきなり場所が移動したせいか三人が少し警戒したような体勢をとっているが、私は問題ないとわかっているので三人が家に入れるように設定する。
「エリザベート」
「アヴニール様? どうかしたのですか?」
エリザベートの名前を呼べば不思議そうにしながらも先ほどよりは元気になってる様子のエリザベートがドアを開けて外に出てきた。
そして、私と一緒に居る三人を見ると目を見開き驚いた様子でドアを勢い良く閉めた。
「わ、私の可愛いエリーが……」
「ど、どうしてお父様とお母様、トール様がいらっしゃるの!?」
エリザベートがドアをすぐに閉めたがその姿は三人の目に映ったのか父親がショックを受けたようにぶつぶつと何かを呟いている。
まさか私が三人を連れてくるなんて思って居なかったのかエリザベートの困惑したような声が聞えてくる、それよりも隣から凄い冷気が漂っているのは母親だろうか。
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