⑥
溺愛してる娘があんな酷い怪我を負わされたとすると尚更だな、エリザベートが帰りたくなさそうな様子だったから少し心配したがこれならば大丈夫そうだ。
この両親ならばどんなことがあろうともエリザベートを守ってくれるだろう、彼女が受けた心の傷は中々治らない可能性もあるが問題なく受け入れてくれるだろうな。
「くっ、今頃エリザベートがどんなに心細い思いをしているのか……」
「早く迎えに行ってあげないといけませんわ」
両親の二人の気がそれている間に王様に命令された軍人たちが気絶してる男達と王子と女を連れて行った、ここに残っていれば消し炭にされる可能性があるだろうしな。
馬鹿王子とは言え一応息子が大事なのだろう、廃嫡はされるであろうが命を奪われることはないのだからそうするしかないな。
でもなければ、あの両親が許さないだろう。
「しかし、あの森に連れられてエリザベート嬢が生きておるかどうか……」
「エリザベートは生きているぞ」
余計な人が居なくなったので王様の言葉と同時に透明わ、解除する、いきなり聞こえた私の声に軍人たちは持っていた剣を構えるが私のこの地蔵ボディには何の意味もない。
国王も警戒はしているようだがエリザベートの両親は私の姿を見ても警戒もしていないようだった、クリスもそうだったが親は何故私を警戒しないのかはわからないな。
「貴様、どこから入った!」
「怪しい奴め!」
「貴方たちは下がってなさい。 貴方は私の娘のエリザベートを知っているのですか?」
残った軍人が国王たちを守るように立って剣を向けているが、母親の方はあまり警戒せず軍人に命令をすると軍人の前に出て私に問い掛ける。
キラキラと輝くドレスは美しいが母親の魔力を見てみるとここに居る誰よりも魔力量が多いことがわかる、私には勝てないだろうが人間としては上の方だろう。
「うむ、そこの御夫人と似た綺麗な金色の髪の女の子だろう? 今朝湖で溺れているのを助けた、三日間を水だけで過ごしていたのか体はぼろぼろで今にも倒れそうだったので安全な場所で眠っている」
「それはよかったです」
「貴様、まさか私の娘に手を出してないだろうな?」
「私に性別の概念はない」
大事な娘が心配なのはわかるが私には性別の概念もないし、性欲もないから人を襲うなんてことはしない、私のことを知らなければ親として心配になる気持ちはわからなくもないから何も言わないが。
私の言葉を聞くもまだ怪しそうに私を見ているので父親は無視しておくか。
「エリザベートの所に案内して頂けますか?」
「本人は帰りたくなさそうにしているが親の説得なら聞くとは思うだろう。 しかし……」
「しかし?」
先ほどの様子を見ていると今のエリザベートの姿を見れば馬鹿王子たちに殺意が目覚めるか、即座に国を出るかのどちらかになる可能性が高いな。
私的にこの一家が馬鹿王子を殺そうが国を出ようが関係ないが、エリザベートは確か第一王子に恋心を抱いているみたいだから嫌がる可能性はあるな。
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