表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

運命







僕はやっぱり君が好きだよ。


でも今は、もう一度君を悲しませる。


僕も悲しい。


終わったら、もう一度君を好きだと言うよ。








――――――――


機械鳥の動きは以前となんら変わりなかった、ただ僕の操縦を除いては。

痛みに邪魔され集中できない。

けど、もう目の前には十二羽の『雀』が存在していた。


手負いの『鷹』と十二羽の『雀』どちらが強いか。


最初の接触際に機関銃の中の弾を半数消費する。

十二羽から同時に弾が発射されるんだから、それくらいは使わないと相手にならない。

腕が鈍っているとは言え、『牙』でもないただの『雀』の何の考えも無い弾に当たる気はしなかった。


けど、『鷹』の弾は的確に『雀』を落としていく。

今の接触で五羽の『雀』が地に落ちた。

僕はまた、またこんな事をしている。

突如ノイズが走った。


「……この…くそ…が!!…ん……くせに調子のんなよ!」


どうやら『雀』からの全チャンネル送信のようだった。

僕に対する罵声らしい、更にこのノイズ加減から推測するに今落ちていった『雀』のどれか。


「おい、聞こえたか。お前はまた人を殺すんだな」


ライアンからの通信だ。

僕の機械鳥の通信用周波数は変えていないから、それを使ってと言うことなのだろう。

僕は今『鷹』だ。

ライアンの言葉は普段なら胸に突き刺さっただろう、でも、今はなんとも思わなかった。


同じように『雀』を落としていく。

後ろを取り、機関銃で羽を奪う。

六羽目、七羽目、八羽目。


まだライアンの声が途絶えない。

つまり残りの四羽の中にライアンはいるということ。

でも、まったく関係ない。

むしろ、ライアンを殺さなければまた世界は戦火に包まれる。

九羽目、十羽目、十一羽目。


まだライアンの声は途絶えなかった。


「お前は、何が面白いんだ!俺はただ……世界を救おうと!」


ライアンの言葉が続けられる。


「違う!あなたは……ただ世界を混乱させようとしているだけ!

 僕があなたを止めてあげる、ここで終わらせてあげる、だから……だから……」


ライアンの機械鳥の背後をとる。

いつでも放てる機関銃。

しかし、トリガーが引けなかった。


「……殺せよ。俺は生きていればこのまま戦争を始めてしまう。お前の望まない世界にしてしまう」


ライアンの言うとおりだったし、今まで僕もそう考えていた。

それでいいのか、本当に。


「お前が殺してくれないなら、俺がお前を殺すだけだ」


ライアンの機械鳥が宙を舞う、明らかに動きが今までのライアンではなかった。

そう……まるで『牙』のような動き。

僕の機械鳥に機関銃を放つがそれは全て逸れていく。

僕の機械鳥の動きはもはやただの『雀』のはずなのに。

『牙』なら用意に噛み殺せるはずなのに。


機関銃を放ちながら僕に迫るライアンの機械鳥。

僕は『鷹』だ。


『雀』なんかじゃない。


機関銃をライアンの機械鳥に向け、放つ。

弾は機械鳥の羽を貫き、胴体を貫いた。

落下していく機械鳥。

未だ放たれたままだった機関銃の弾が、僕の機械鳥の翼に当たる。


機械鳥はデリケートな機械だ。


昔誰かが言っていた、少しでも傷が付くと落ちてしまう。

僕の機械鳥も浮遊する力を失ったらしい。


ただ、地面が迫っていた。
















地面に落ちる中



一瞬見えたエルクサブルの景色は



普段と何も変わらなかった


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ