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工場の街 エルクサブル

ども、フラパです。


実は凄い急いで書き上げたので誤字・脱字が多いかもしれません。

しかし、お題から書くと言うのは普段とは少し違った感じで書いていてとても面白かったです。

ちょっとまとめすぎてなんだかよくわからなくなってしまいましたが、是非お読みください。

――――――――ただ僕は空が好きだった。


それだけだった、ただ、それだけ。

それなのにいつからだろう、空を飛びたいと願ったのは。

それなのにいつからだろう、空を自由に飛びまわれるようになったのは。

それなのにいつからだろう、鳥が重くなったのは。

それなのにいつからだろう、金属の弾を使うようになったのは。

それなのにいつからだろう、人の空を奪うようになったのは。



それなのにいつからだろう、僕が空を嫌いになったのは。



誰かの機械の鳥が空を飛ぶ。


奪うは命?それとも空?


僕の機械鳥が空を飛ぶ。


得るのは命?それとも……





――――――――



「くだらない、くだらない、くだらないなぁ……」


自室のベットの上で呟く。

誰に言うでもなく、ただの独り言。

身体を起こし、目を開けるとただ無機質な世界が僕を迎えてくれた。

天井や壁は継ぎ接ぎの鉄板だ。

扉までも鉄板で出来てるんだから、もうこだわりみたいなモノなのかな。

ベットだって簡単な作りだけど、それでもココでは大分マシだ。


――――――――エルクサブル 工場の街。


屈強な肉体を持つ男達が犇めき合う、汗臭い街。

街自体が一つの大きな工場となっていて、僕はその工場の一つ一つを点検、修理する仕事をしているんだけど。

凄い大きいおじさんに「先生」とか「技術屋さん」とか呼ばれるのは少しこそばかった。

しっかりと洗面を済まし、いつもの緑の作業着に袖を通す。

一応洗濯はしてるけど、少しだけ匂いが気になるのはココだけの話にしよう。


鉄板の扉を開けると、そのまま外が見えた。

エルクサブルには部屋のしきり以外に壁がない、大の男二人が丁度通れるほどの面積の廊下。

このエルクサブルの住居区にはその廊下に沢山の扉が並んでいるだけ、簡素な造りになっている。


「あぁ、先生おはようございます」


作業員の一人が話しかけてくる。

彼も恐らく洗面を済まし、朝の仕事に向かうところなのだろう。


「おはよう、今日も一日頑張ろう」


今の僕に出来るだけの笑顔で応えると、目の前の作業員は満足したように駆けていった。

エルクサブルで働く人の数は確か8000人くらいだと聞いている。

街としては少し足りない人数だけど、工場としてはかなり多い方だ。

僕以外の技術者は一つ下の階で暮らしている、だからちょっと優遇されてるんだけど。

そのせいかはわからないけど変な目で見られるのはちょっと嫌だ。


「先生!こんなところにいたんですか。ちょいと来てくれませんか」


後ろから声をかけられ驚きつつも、聞きなれた声で少し安心する。

振り向くとその場にいたのは予想通りエルクサブルのAブロックのブロック長、カゲヤマさん。

少し長め――――と言っても前髪が眉毛にかかる程度――――の髪をいつも白いタオルで隠している。

だけど自慢の白い歯と濃い眉毛、そして所々に山あり谷ありのご自慢の褐色の体。

白いタンクトップと黒い作業用ズボンが似合うおじさん……と呼ぶには少し早い、そんな人だ。


「は……はぁ、何がどうなったんですか?」


僕の質問を一切聞かずにカゲヤマさんは今現れた廊下を戻っていく。

つまりは、つべこべ言わずに見てくれって事なんだろう。

そういう時は素直についていくに限る、この三年間で僕が覚えた知識の一つだ。


エルクサブル全体が大きな工場だけど、一つのものを作っているわけじゃない。

日用品から兵器まで、さまざまなものを作り出している。

全5ブロックによって成っていて、Aブロックは軍事品を作るためのブロック、今ではあまり軍事品は必要ないと思うんだけど……


「先生。ここでさぁ、うまく動いてねぇでしょ?」


カゲヤマさんが指差す部分を見てみると、確かに動きがおかしい。

歯車が行ったり戻ったり、不思議な動きをしている。

でもこう言う原因が非常に簡単な異常は一々僕にやらせないで欲しいって言うのが本音。


「カゲヤマさん。これはただ歯車に何かが挟まってるんですよ。ホラ奥、見て」


ペンライトで歯車の奥のほうを照らすと、何かが歯車の間に挟まっているのがわかった。

カゲヤマさんは何の躊躇もなく手を突っ込み、挟まっていた何かを抜き出す。

カゲヤマさんは満面の笑みを浮かべており、どうだ、と言わんばかりに何かを僕の前に突き出した。


「あ、ありがとうございます。これで正常に動くはずですよ」


カゲヤマさんから挟まっていたものを受け取り、歯車に目をやる。

どうやら言葉通りきちんと動いているようだった。


「いやいや、先生いつもありがとうございます。今度ウェインで飯でもおごりますよ」


ウェインって言うのはこのエルクサブルにある数少ないレストランの一つ。

定食屋って言うべきなのかわからないけど、十分なご馳走を提供しているのでレストランといっても過言ではないだろう。

カゲヤマさんは意気揚々と今にもスキップをするのではないかと思うほど軽やかな足取りで仕事場へと戻っていった。


手の中にある先程受け取った何かを確認する。

大きさは四分の一にたたんだ手ぬぐいくらいだろうか。

黒色、重さ、形、どこかに、いやすべてに見覚えがあった。



――――――――これは機械鳥の破片だ。




あの時はただここに存在するはずのないこの破片の重さだけが、ただ僕の心に響いたんだ。

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