骸
私は見た
茹だるような暑さの中
生物を焼き尽くさんとする日差しを
全身で熱線を、ぎらぎらと乱反射させる
シルバーのワンボックスカー
目を覆いたくなる程に外は明るいのに
薄暗い車中
氷の冷気よりも冷ややかで
明かりのない空間よりも暗い
骸
両手は無様に投げ出され
口は喘ぐように、わずかに開き
瞼は縫いつけられたかのように固い
汗一筋どころか
血の一滴も通わぬ
土気色の肌
死を漂わせる色
無念にも尽きた命
空っぽのボディ
空き地の隅の地面に生えた
青々とした生命の群れが踵を摩り
ぬるい風が頬を掠め
拭われない汗が喉を伝い
襟に大きなしみを作り続ける
夏の暑く
天高く日が昇る
あの日
私はひとり
骸を見た