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関羽5 ヒゲどの    

三國志さんごくしマップにおける北端近く、

幽州ゆうしゅうの生まれの劉備りゅうび


そこから色々あって南下、

ついには三国志マップの南西端、益州えきしゅう

俗に言う「しょく」の地で、ついに

政府を設立することができた。


蜀は四方を山に囲まれているため、

守るだけなら非常に強い地だ。

だが、逆に言えば攻め手に欠けている。

それも、著しく。


蜀にとってのライフライン、

それは南部を流れる、長江ちょうこう

この川を下れば平原に出ることが叶い、

いくらでも軍略を広げられる。

となると、蜀からの出口となる地、荊州けいしゅう

ここを失うと、ほぼ攻め手的には、詰む。


なので劉備、荊州を関羽かんうに任せた。

関羽の敗北は、ほぼ劉備の敗北。

そのようにすら言ってしまえる役職だ。


一方で関羽、

ちょっと心細くなったようではある。

蜀の地でなされる人事を気に掛け、

すねたりもしている。


ある時、蜀に馬超ばちょうがやってきた。

長安周辺で曹操を苦しめた、あの。

そんなかれが蜀北部の山を越え、

劉備に帰順した、と言うではないか。


劉備の側にそんな新人つけるなんて!

驚いた関羽、諸葛亮しょかつりょうにお手紙を書いた。

ほんとにあいつ大丈夫なん? やばない?

そう、問い質そうとしたのだ。


お手紙をもらった諸葛亮、忖度そんたくした。

わかるよ。ずっと主上しゅじょう守ってきたもんね。

大変だったよね。自負あるよね。


なので、こう返事した。


「馬超、文武ともにヤバいっすよ。

 特にその武力ときたら、ほんとに!

 ああ言うのを、きっと

 人傑って言うんでしょうね!


 かんの高帝劉邦(りゅうほう)に仕えた黥布げいふ彭越ほうえつも、

 きっとあんな感じですよ!」


おおっと孔明こうめいさん、

ここでその二人ですか。

武力卓絶、しかし劉邦に殺された二人。

この二人になぞらえる、イコール

「主上もそんなに信用してませんよ」

アピールだ。

後世でもこの二人、大体の場合

「主君から疑われて殺された名将」

枠である。


「そんな彼ですから、

 張飛ちょうひとなら先駆けを

 爭い合うことになるでしょう。


 っが、ヒゲどの。

 さすがにあなたの抜群の武の前には、

 どうあっても及びませんよ」


関羽のもみあげやひげが美しかったため、

諸葛亮は、関羽を「ヒゲどの」

と呼んでいたのである。


うーん孔明、分かってるぅー!

この手紙に大喜びした関羽、

人々に見せて回ったそうな。




先主西定益州,拜羽董督荊州事。羽聞馬超來降,舊非故人,羽書與諸葛亮,問超人才可誰比類。亮知羽護前,乃答之曰:「孟起兼資文武,雄烈過人,一世之傑,黥、彭之徒,當與益德並驅爭先,猶未及髯之絕倫逸群也。」羽美鬚髯,故亮謂之髯。羽省書大悅,以示賓客。


先主の西に益州を定むるに、拜して羽をして荊州の事に董督せしむ。羽の馬超の來降せるを聞きたるに、舊より故き人に非ざれば、羽は諸葛亮に書を與え、超が人才の誰に比類きかを問う。亮は羽が前に護りたるを知りたれば、乃ち之に答えて曰く:「孟起の文武を兼ねて資し、雄烈なること人に過ぎ、一世の傑、黥彭の徒、當に益德と並び先を爭いて驅けたれど、猶お未だ髯の絕倫逸群たるには及ばざるなり」と。羽が鬚髯は美しかれば、故に亮は之を髯と謂う。羽は書を省みて大いに悅び、以て賓客に示す。

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